2020/10/26

【弁護士監修】失業保険の会社都合とは?自己都合との違いやメリット・デメリット

執筆者 編集部
残業代関連

「失業保険の会社都合は自己都合とどう違うのか?」と思う方もいることでしょう。
会社都合退職とは、倒産または解雇により退職することです。失業保険の支給について多くのメリットがありますが、転職を考えるとデメリットとなる点もあります。
この記事では、会社都合退職の具体的な退職理由、自己都合退職と比較した場合のメリット・デメリットについてご紹介します。

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 失業保険は「会社都合」と「自己都合」の2種類

失業保険には「会社都合退職」と「自己都合退職」の2種類があり、退職の理由によりどちらになるかが決まります。会社都合退職・自己都合退職それぞれの退職理由を見てみましょう。

1-1. 会社都合退職とは?

会社都合退職は、倒産または解雇が理由の退職です。倒産および解雇は、具体的には以下のように定義されています。

【倒産などによる退職の具体的事例】
・倒産(破産、民事再生、会社更生、あるいは手形の不渡りなど)による退職
・大量のリストラが行われたことによる退職
・事業所の廃止・移転による退職

【解雇などによる退職の具体的事例】
・解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)による退職
・賃金や職種、勤務時間、勤務場所などの労働条件が労働契約を締結したときに明示されたものと大幅に異なったことによる退職
・賃金の未払いあるいは大幅な低下による退職
・残業が、3ヶ月連続で月に45時間以上、あるいは1ヶ月で100時間以上など、多すぎることによる退職
・会社が育児・介護休業法に違反したための退職
・パワハラ、セクハラなどによる退職
・退職勧奨を受けたことによる退職(早期退職優遇制度による退職は含まれない)
・会社の理由による休業が3ヶ月以上続いたことによる退職
・会社の業務が法令に違反したことによる退職

参考:ハローワーク『特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要』
※ 会社都合退職はこの資料において「特定受給資格者」と呼ばれます。

1-2. 自己都合退職とは?

自己都合退職とは、上に示した会社都合退職以外の一般の退職です。転居や出産、介護、病気などによる退職や、キャリアアップを目指しての退職など、多くの退職が当てはまります。

2. 会社都合退職のメリット

会社都合退職には、自己都合退職と比較して、失業保険の受給資格や最短での支給日、支給期間、国民健康保険料などについて多くのメリットがあります。

2-1. 受給資格

失業保険の受給資格は、雇用保険の被保険者である期間が、会社都合退職の場合には「退職前の1年間に通算して6ヶ月以上あること」となります。
それに対して自己都合退職の場合には、「退職前の2年間に通算して12ヶ月以上あること」です。したがって、自己都合退職の方が受給資格は厳しいです。

2-2. 最短での支給日

会社都合退職の場合には、申し込みをしてから最短で「7日後」から失業保険が支給されます。それに対して自己都合退職では、さらに3ヶ月の給付制限期間があるため、最短で「3ヶ月+7日後」からの支給となります。

2-3. 支給期間

失業保険の支給期間は、雇用保険の被保険者であった期間と退職時の年齢によって決まります。会社都合退職の場合には「90日~330日」であるのに対し、自己都合退職では「90日~150日」と短いです。支給期間が異なりますので、支給される失業保険の総額も会社都合退職の方が多くなります。
なお、新型コロナウィルス感染症対策のために2020年6月12日に成立した雇用保険特例法では、給付日数を30日~60日延長する特例が設けられています。

参考:東京労働局『雇用保険受給資格者の皆様及びこれから手続きされる皆様へ~新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について~』

2-4. 国民健康保険料の軽減

会社都合退職の場合には、国民健康保険料(税)の軽減を受けられます。それに対して自己都合退職では軽減は受けられません。軽減の内容や期間は自治体により異なります。

2-5. 自己都合退職でも優遇が受けられるケースもある

以上のように会社都合退職は、自己都合退職と比較して、失業保険の支給などについて優遇されます。ただし、自己都合退職のなかでも以下のケースについては、「特定理由離職者」として優遇が受けられることがあります。

1. 有期雇用契約の労働者が雇い止めにあった場合
2. 以下の正当な理由により自己都合退職した場合
・体力の不足や心身の障害、病気などによる退職
・妊娠や出産、育児、介護による退職
・単身赴任が困難になったことによる退職
・結婚や事業所の移転などにより通勤が困難・不可能になったことによる退職
・希望退職者の募集に応じた退職

以上に該当する場合には、ハローワークで相談してみましょう。

3. 会社都合退職のデメリット

メリットが多い会社都合退職ですが、デメリットもあります。それは、転職活動をする際に、より慎重な対策が必要となることです。

会社都合退職は、前述のとおり倒産または解雇が理由で退職することです。倒産で退職するのは致し方ないとして、解雇による退職は、本人にも問題がなかったかを転職先が警戒するケースがあります。

したがって、会社都合で退職した場合には、転職活動の面接で、退職の具体的な理由について、問題を起こしていなかったか、会社とのトラブルはなかったかなどを詳しく聞かれることがあります。より入念な履歴書・面接対策が必要となるでしょう。

残業代未払いが退職理由のときは自己都合退職にされることが多いですが、条件を満たした場合は会社都合退職にすることもできます。

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