2020/06/19

【弁護士監修】残業30時間は多いほう?残業代の正しい計算方法や違法となる場合とは

執筆者 編集部
残業代関連

残業に対する考え方は人それぞれです。生活するには残業代が欠かせないと考える方もいれば、残業は一切したくないという方もいるのではないでしょうか。月30時間の残業が多いか少ないかも、勤めている業界や職種によって異なります。

今回は、月30時間の残業が一般的に長いのか、残業時間から残業代を計算する方法、万が一未払いの残業代がある場合の解決方法などをご紹介します。自分自身の環境を見直すきっかけになるでしょう。

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 残業が月30時間は平均残業時間より多い

結論から申し上げると、月30時間の残業は平均残業時間より多いといえます。転職・就職の情報サイトOpenWorkの調査によると、1か月の残業時間の平均は25時間前後となっており、月30時間という数字は平均以上です。

1日平均に直すと1時間程度の残業となるため、月80時間や月100時間というような長時間の残業が当たり前になっている方からすると「少ない」と評価されるかもしれません。

しかし、労働基準法で定められている労働時間「1日8時間・週40時間」や36協定の上限規定「月45時間・年360時間」から考えても、月30時間の残業は軽視される数字ではないといえるでしょう。

参考:『2018年OpenWork残業時間レポート』

参考:『時間外労働の上限規制わかりやすい解説』

2. 残業30時間で抱える悩み


月30時間残業に対する評価は人によって異なるでしょう。実際に月30時間の残業で悩んでいる方も少なくありません。「仕事が増えてプライベートの時間が作りづらい」「残業代が少ない」など、さまざまなケースが考えられます。ここでは、月に30時間残業をしている方の悩みをご紹介しましょう。

2-1. 法定内でも仕事が多く疲れる

月30時間の残業は、通常の勤務に加えて約4日分働いているともいえ、週6日勤務をしているのとほぼ同じ労働時間だと考えることもできます。

週6日勤務と考えると、たとえ法定内の労働時間であっても日々のストレスや疲れが溜まっていくでしょう。それを発散する機会も少なくなるでしょうから、さらに疲労が溜まりやすくなるのは想像に難くありません。

月30時間の残業を単純に平均化すると、毎日1時間以上帰宅するのが遅くなります。仕事終わりにプライベートな趣味や予定を入れる時間が少なくなり、精神的・肉体的な疲労につながりやすくなるでしょう。

2-2. 残業代や給料が少な過ぎる

生活費のために残業代が必要と考えている方にとっては、残業時間が月30時間では短いかもしれません。もっと働いてより稼ぎたいと考えている方もいるでしょう。

残業代は1時間あたりの賃金額を使用して計算するため、残業代の額は基本給に比例します。基本給が少なく、月30時間の残業では残業代が満足いく額に満たないと悩んでいる方もいるでしょう。

3. 月残業30時間でも違法になる場合がある

月30時間の残業を多すぎると感じている方のなかには、「月30時間も残業させるのは違法ではないか」と思っている方もいるかもしれません。

労働基準法で定める労働時間の上限は「1日8時間・週40時間」です。これを超える場合は違法になりますが、労使間で「36協定」を結んでいれば上限が延長され「月45時間・年360時間」までの残業が認められます。月30時間の残業はこの基準に触れないため、正しく36協定が結ばれていれば違法になりません。

ただし、月30時間の残業でも、正当な残業代が支払われていない場合は違法です。従業員は残業代を正確にもらう権利があり、会社には支払う義務が発生します。

参考:『36協定で定める時間外労働及び休日労働 について』

4. 残業代の計算方法!月30時間残業はいくらもらえる?

残業代が正しく支払われているかどうかを確認するには、本来もらうべき残業代を計算する必要があります。しかし、残業代の計算方法や、基準賃金の算出方法をご存じない方も多いかもしれません。

ここでは基準賃金から残業代を計算する方法や、月30時間の残業代がいくらになるのか、具体的な金額を提示してご紹介します。

4-1. 残業代を計算する方法

残業代を計算する場合は、下記の計算式を使用します。
【残業代=1時間あたりの賃金×割増率×残業時間】

「1時間あたりの賃金」とは、1時間働くことで発生する賃金のことです。賃金には、基本給だけでなく役職手当や資格手当なども含まれます。月給制であれば「月給÷1か月の平均所定労働時間」で1時間あたりの賃金を算出しましょう。

「割増率」とは、時間外労働や深夜労働などに対する割増賃金の増加率のことです。時間外労働の割増率は「1.25」以上、法定休日労働は「1.35」以上、深夜残業は「1.5」以上など、労働基準法第37条で定められています。

それぞれの数値は労働基準法で定められた最低の基準であり、会社によってはそれを超えるケースもあるかもしれません。わからない場合は、会社に問い合わせましょう。

参考:『割増賃金の基礎となる賃金とは?』

4-2. 具体的な金額を出してみよう

上記計算式を用いて、月30時間残業している方の残業代を計算してみましょう。ここでは、月給30万円、月の平均所定労働時間160時間、割増率1.25というケースを想定します。

まずは、1時間あたりの賃金を計算しましょう。計算式は下記の通りです。
【30万円÷160時間=1875円(1時間あたりの賃金)】

1時間あたりの賃金を用いて、残業代を計算します。
【1875円×1.25×30時間=7万312円(残業代)】

以上の計算から、月給30万円で月30時間残業している方のおおよその残業代は7万312円であることがわかりました。月給が下がれば残業代も下がりますし、割増率を1.3や1.35としている会社はその分残業代が上がります。

5. 未払い残業代は請求できる


本来自分がもらうべき残業代と給与明細を見比べると、未払い残業代があるかどうかが判明するでしょう。残業代の支払いは会社側の義務であり、従業員には受け取る権利があります。

未払いの残業代がある場合は会社に請求可能です。万が一に備えて、未払い残業代の請求方法を知っておきましょう。ここでは、未払い残業代を請求するために必要な知識をご紹介します。

5-1. 残業代請求の時効は2年

残業代請求の時効は労働基準法第115条で2年と定められており、2年以内に権利を主張しないと請求権が消滅します。

「今は忙しいから後日請求しよう」などと、残業代の請求を後回しにしていると、時効によってもらえるはずのものが、もらえなくなってしまうかもしれません。

残業代の未払いが悪質だと請求権が3年に延長されることもありますが、そのような例は稀です。2年を過ぎると泣き寝入りの可能性が高まります。残業代を回収するためには、素早い行動が大切です。

参考:『労働基準法』

5-2. 自分で請求するより弁護士に頼むほうがよい

実際に残業代を請求するとなると、未払いの残業代を確定させて請求し、支払いがない場合は裁判を起こすなどの手続きが必要です。専門知識が必要となるだけでなく、精神的な負担も大きくかかります。相手が弁護士を立てた場合、勝てるはずの裁判に負けてしまう可能性もあるでしょう。

そのため、会社に残業代を請求する際は弁護士に依頼するのがおすすめです。自分が窓口にならない分精神的な負担を減らすことができ、請求が通る可能性も高まります。

6. 弁護士に依頼する資金がないなら『アテラ 残業代』を活用

弁護士に依頼する資金がないという方は、
『アテラ 残業代』
の活用を検討してみてはいかがでしょうか。『アテラ 残業代』は、弁護士に残業代請求を依頼するのに必要な着手金を負担するサービスです。

敗訴した場合など、残業代が支払われなかったときには、負担が実質ゼロになる仕組みのため安心して依頼できます。「残業代が回収できるか不安」「弁護費用が準備できない」という方は、『アテラ 残業代』にご相談ください。

7. 残業代請求以外で自分ができること

「残業時間が多い」「残業代が支払われない」などのトラブルの解決方法は、残業代請求のほかにもあります。残業時間を減らすことができれば、残業代に関するトラブルや不満を軽減することができるでしょう。

そのためには、自分で考えて行動したり、仕事の仕方を工夫したりすることも必要です。ここでは、明日から実践できる方法をご紹介します。

7-1. もっと効率よく仕事をしてみる

仕事をするうえで効率や生産性は大事なことです。効率が上がれば時間内に仕事を終えられる可能性が高まり、相対的に残業時間も減少するでしょう。同じ仕事内容でもちょっとした工夫で、状況が改善するかもしれません。たとえば、下記のような方法を試してみてはいかがでしょうか。

・仕事ごとに優先順位をつける
・作業時間を区切る
・システムやツールを有効活用する

より効率よく仕事ができるよう、自分に合った方法を探してみましょう。

7-2. 平日も予定を入れて残業を減らす

残業時間を減らすには、残業できない環境を作ることもひとつの手です。さまざまな方法がありますが、仕事終わりに予定を入れて強制的に残業できないようにしてみましょう。

たとえば友達や恋人、家族との約束など、簡単にはキャンセルできない予定を入れます。それによって「早く仕事を終わらせよう」と頑張れる方も多いでしょう。

仕事終わりに予定がないと、いつまでも残業できてしまうため、残業時間が伸びてしまっているのかもしれません。まずは週に1日からでも始めてみましょう。

7-3. 仕事量が多い場合は分担することも

残業が減らせない理由のひとつには、与えられている仕事量が1人でこなすには多すぎるという可能性もあります。処理しきれない仕事を1人で抱え込んでいては、終えることができずに精神的にも肉体的にも大きな負担となるでしょう。

仕事量が多すぎると感じた場合は、上司などに相談することも大切です。1人で抱え込む前に、誰かと分担することも検討しましょう。専門知識やスキルをもつ方に相談したり、アドバイスを求めたりすると、思いのほか早く解決するかもしれません。

7-4. 転職する

仕事量の調整ができず職場に訴えても改善されない、どうしても残業時間を減らすことができないなどの場合は、残業の少ない業界や会社への転職を検討してみましょう。人材の流動化が進むなかで、転職をする方は増えています。

ただし転職した結果、残業時間が増えてしまっては意味がありません。転職先を探す際は、残業時間に関する調査も入念に行いましょう。業務内容や契約条件の説明で提示される残業時間は最低ラインである可能性もあります。実際にそこで働いている方に話を聞くのがおすすめです。

8. まとめ


月30時間の残業は人によってとらえ方が異なるものの、それぞれに悩みを抱えている方も多いでしょう。未払いの残業代で悩んでいる場合は、もらっていない残業代を請求できることやその請求方法などもご紹介しました。自分で対応することもできますが、弁護士に依頼したほうが安心かつ安全に回収が可能になるのでおすすめです。

ただし弁護士に依頼する場合、残業代請求の成功/不成功にかかわらず、最初に依頼するための着手金が必要な場合が多々あります。残業代請求が通るか分からない中で、弁護士に数十万円を最初に渡すのは抵抗がある方も多いかもしれません。

そんな方におすすめなのが『アテラ 残業代』です。
①『アテラ 残業代』では、弁護士の着手金を立替えてくれるので、お手元から現金を出さずに、弁護士に着手金を払って依頼することができます。
②さらに、『アテラ 残業代』を利用すると、敗訴した場合や会社からお金を回収できなかった場合には、立替えてもらった着手金を実質返済する必要がないので、リスク0で残業代請求を行うことができます。
残業代請求をするときのリスクは、最初の着手金を支払うことで敗訴したときに収支がマイナスになってしまうことですが、『アテラ 残業代』を利用することでそのリスクがなくなります。

着手金にお困りの方、残業代請求のリスクをゼロにしたい方は、ぜひ『アテラ 残業代』をご利用ください。

なお、着手金支払いの負担・リスクではなく、どの弁護士に頼むかでお悩みの方は、ぜひ株式会社日本リーガルネットワークが運営するWebサイト『残業代・解雇弁護士サーチ』の弁護士検索機能をご利用ください。

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