2020/03/10

【弁護士監修】残業が月40時間は普通?残業時間の上限や残業代の金額

執筆者 編集部
残業代関連

この記事は、労働法務等にくわしい弁護士監修のもと、残業に関する正しい知識・対策をお伝えしていきます。

会社や職種によって残業事情はさまざまですが、「月に40時間ぐらいは残業している」という方もいるのではないでしょうか。「月40時間は普通なのだろうか……」「違法にはならないのだろうか……」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、月40時間の残業は普通なのか、違法にはならないのかなどを丁寧に解説していきます。
残業についてくわしく知ることで、残業代が出ていない場合の対策を練ることもできるでしょう。

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 残業が月40時間あるのは普通のこと?


初めに結論をいうと、月40時間の残業は珍しくありません。Open Work調査レポートVol.4によると「残業時間の平均は47時間」とする調査結果も出ています。月40時間という残業時間は、平均かそれ以下といえるでしょう。

それゆえに会社で問題視されることが少なく、改善対策がまったく行われない、残業代が支給されないといったケースも多いようです。しかし、平均的とはいえ、場合によっては「違法」になることもあります。次の項目でくわしく見ていきましょう。

2. 残業時間が違法になるケースは?


月に40時間の残業が違法になるケースには、おもに36協定の未締結と不適切なみなし残業の2つのパターンがあります。もしどちらかのケースに当てはまる場合には、不当な労働を強いられていることになるため対策を考えたほうがよいでしょう。具体的な対策方法については後の章でくわしく紹介します。

2-1. 36協定が締結されていないのに残業をする

ひとつめのケースは、「36協定(サブロク協定)」を結んでいないのに残業させているケースです。36協定は、法定労働時間(1日に8時間・週に40時間)を超えた労働、つまり残業や休日労働を例外的に認めてもらうための協定です。

従業員に残業をさせるためには、この協定を結んで労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定を結んでいなければ、たとえ1時間の残業であっても違法になるのです。
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なお、36協定を結んでいるからといって、制限なく残業が認められるわけではありません。「月45時間・年間360時間」という上限があり、これを超えた場合は違法になる可能性があります。36協定を結んでいるかどうかは「就業規則」「雇用契約書」などを見れば分かります。自身が36協定を結んでいるのか、まずは確認してみましょう。

2-2. みなし残業代が適正ではない

2つめのケースには「みなし残業(固定残業制度)」が関係します。この制度は、実際の残業時間にかかわらず一定額の残業代(みなし残業代)を毎月支給するものです。みなし残業自体は違法ではなく、みなし残業を40時間とすることも(36協定の上限を超えていないため)基本的には問題ありません。

しかし、この制度が適正に導入・運用されていない場合は、違法になることがあります。以下のような場合は注意が必要なケースのため、該当項目がないが確認してみましょう。

・就業規則や雇用契約書にみなし残業に関する記載がない
・通常賃金部分と固定残業代部分が区別されていない
・固定残業代部分が割増賃金であることが記載されていない
・設定されたみなし残業時間が多過ぎる
・残業に対する手当でないものを「みなし残業代」としている
・通常賃金部分が最低賃金より低い
・みなし残業超過分の残業代が支給されない

ただし、「みなし残業」とは職場によって、裁量労働制・事業場外労働のみなし制・固定残業代など、何を指しているのかが異なります。固定残業をみなし残業と呼んでいる場合、固定残業の設定が間違っているだけで、必ずしも残業時間が違法というわけではありません。残業が違法になるのは、36協定違反以外に、残業時間の上限規制違反があるときです。

3. 残業時間の上限について

36協定を結んだとしても、残業時間には上限(月45時間・年間360時間)があることを説明しました。
ただし、このルールには例外があり、36協定に「特別条項」を付けることで、月45時間・年間360時間を超えて従業員に残業させることが可能になるのです。
もっとも、働き方改革関連法の施行により、この「特別条項」を使った残業にも上限が設けられました。
(働き方改革関連法による残業時間の上限規制は、2019年4月から施行されています。)
具体的には、36協定に「特別条項」を付けたとしても、残業時間(時間外労働時間)は、以下の上限の範囲内にする必要があります。

1か月の残業時間の上限 100時間未満(残業時間と休日労働時間を合わせて)
2~6か月平均の残業時間の上限 2か月平均、3か月平均、4か月平均、5か月平均、6か月平均がすべて1か月当たり80時間以内(残業時間と休日労働時間を合わせて)
1年間の残業時間の上限 720時間以内
残業時間が月45時間を超える月の数 1年のうち6か月まで

この上限を超えて従業員に残業を指示した場合には、罰則として6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
※新技術・新商品等の開発業務、建設事業、自動車運転の業務、医師等については、上記の規制が緩和されています。

4. 月40時間残業した場合の残業代はいくらになる?

それでは、残業40時間の場合の残業代計算を行ってみましょう。基本となる計算式は以下のとおりです。

「残業時間×1時間あたりの賃金×割増率」

1時間あたりの賃金は「基礎賃金÷1か月あたりの平均所定労働時間」で出します。所定労働時間は就業規則などで正確なものを確認しましょう。なお基礎賃金に通勤手当・住宅手当・家族手当・別居手当・子女教育手当・臨時賃金・ボーナス等は含めません(業務手当・調整手当・役職手当等は含めます)。

割増率は、残業の時間帯や法定休日労働に該当するか否かなどによって異なりますが、ここでは深夜時間帯にも法定休日にも該当しない法定労働時間外残業を想定して「1.25倍」とします。その他の条件は「基礎賃金20万円(手当なし)」「平均所定労働時間160時間」としましょう。

1時間あたりの賃金=20万円÷160時間=1,250円

この条件で月40時間の残業をした場合、

残業代=40時間×1,250円×1.25=62,500円

残業代は62,500円と算出できました。自分の場合はいくらなのか、条件を当てはめて計算してみましょう。

5. 月40時間の残業はきつい?

平均的と説明した月40時間残業ですが、「自由な時間がほとんどない……」「毎日ヘトヘト……」と感じている方も多くいます。そこで、月40時間残業した場合の生活パターンを具体的にシミュレーションしてみましょう。

月40時間ということは、一般的な週5勤務で考えると「毎日2時間の残業」と想定できます。定時の終業時間が18時とすると、20時までの残業です。寄り道せず帰宅したとしても21時を過ぎる……というケースも多いでしょう。自由に使える時間はほとんどありません。

さらにシフト制で残業翌日が早番であったり、日によって残業時間の差が大きかったりすると、より心身への負担が増えるでしょう。「残業代で少しでも多く稼ぎたい」ということでなければ、改善すべき労働環境といえます。

6. 残業時間を減らすための対策方法


残業時間を少しでも減らしてライフワークバランスのとれた毎日を送るためには、どうすればよいのでしょうか。考えられる主な対策方法を、4つ紹介します。

6-1. 働き方を改善する

まずひとつめは、自分の働き方や残業に対する考え方を変えてみるという方法です。そこまで長時間に及ぶ残業でなければ、自分の努力で改善できる可能性があります。

たとえば、1日の段取りを組んで業務に取り組む、仕事に優先順位をつけて取り組む、脳も体も疲れていない午前中のうちに重要な仕事を片付ける、などを意識的に行うと効率のよい仕事につながります。

また、「残業するのは当たり前」「どうせ今日も残業になるだろう」といった考えがどこかにあると、どうしてもダラダラと時間を使ってしまいがちです。自分次第で仕事の進み方が大きく変わることを自覚して、限られた時間内で最大のパフォーマンスを発揮しましょう。

6-2. 会社に改善を求める

自分の努力では残業が減らないというケースもなかには存在します。その場合は、一度会社に掛け合ってみるという方法もあります。自分の抱える仕事量や、どれぐらいの残業が毎日発生しているのかを具体的に伝えるのです。上司や会社によっては、改善に向けて何か対応を考えてくれるかもしれません。

交渉の際には、残業が減ってもこれまでどおり成果を出せる旨も伝えるとより説得力が増します。しかし、会社に交渉するなんて気が引ける……という方もいるでしょう。会社に悪意がないのであれば、予想以上に前向きな対応をしてくれることも考えられます。つらい状況をただ我慢しているよりも、まずは自分の状況と意思を伝えてみましょう。

6-3. 労働基準監督署に相談する

労働基準法に違反した残業をしている場合は、会社に違法性を指摘することで見直しが行われることもあります。また、労働基準監督署に相談するのもひとつの方法です。労働基準監督署が動いてくれることになれば、監督官が会社の調査を実施し、違法と認められる実態に対して是正勧告がなされます。

ただし労働基準監督署は、労働災害や過労死といった重大な案件から優先して取り扱うのが通常です。そのため、すぐに動いてくれるとは限りません。重大性がないと判断されれば、単なる情報提供として処理されてしまうこともあるでしょう。労働基準監督署が行う是正勧告には「法的な強制力がない」ことも覚えておきたいポイントです。

6-4. 転職を検討する

さまざまな努力はしてみたけれども一向に改善の兆しが見られない……という場合は、思い切って転職を検討してもよいでしょう。今よりも快適な労働環境で、もっと前向きに仕事に取り組める職場が見つかるかもしれません。

ただし、転職先を選ぶ際には労働条件をしっかりと確認する必要があります。現在とさほど残業事情の変わらない職場では、転職する意味がありません。初めに紹介したように月40時間の残業は決して珍しいものではなく、むしろ平均以下といえます。

つまり今の職場より残業が多い職場もたくさんあるということです。そのことを頭に入れたうえで、慎重に転職先を検討しましょう。

7. 残業代が支払われない場合にできる対策


会社が正しく残業代が支払わない場合は、会社に対して不足分を請求できることをご存知でしょうか。最後に、残業代が正しく支払われていない場合の請求方法を紹介します。「自分自身で請求する」「弁護士を通して請求する」という2つの方法があるので、それぞれについてくわしく確認していきましょう。

7-1. 自分で残業代を請求する

会社に対する残業代請求は、自分自身で行うことも可能です。しかし、「残業の事実を示す証拠資料を集める」「未払い残業代を正確に算出する」「配達証明付き内容証明郵便を郵送する」「自分自身で会社と交渉を行う」といった手続きが必要です。

これらの手続きは手間がかかるうえ、請求を有利に進めるには法的知識も求められます。会社と直接交渉を行うため精神的な負担も大きいでしょう。そのため、多くの場合は弁護士に依頼をして請求します。すべての手続きを任せられるため手間がかからず、精神的な負担もありません。次の項目でくわしく見ていきましょう。

7-2. 弁護士に依頼して残業代を請求する

弁護士に依頼することの最大のメリットは、請求の成功率が上がることです。的確な主張と法的処理によって有利に話を進められ、取り返せる額も自分で請求するより大きくなるでしょう。また、先ほど触れたように手間や精神的負担が少ないのもメリットです。弁護士が出てくることで会社もおざなりな対応はできず、真剣に向き合ってくれます。

弁護士に依頼した場合は、以下のような流れで進みます。

1. 依頼(契約)
2. 内容証明送付
3. 証拠資料収集
4. 未払い残業代を算出
5. 会社と交渉
6. 残業代取得

弁護士に依頼すればこれらの手続きをすべて任せることができ、万が一労働審判や裁判になったとしても適切に対応してもらえるため安心です。弁護士に頼めば、残業代請求は決して難しいことではありません。ぜひ検討しましょう。

8. まとめ


月40時間という残業時間は、企業で働く中では珍しいケースではありません。しかし、中に残業代の未払いや残業時間の上限違反など、違法になるケースも存在します。自分自身で残業を減らせるよう働きかけるという方法もありますが、弁護士に頼んだほうがより簡単に未払い残業代を取り戻せます。

ただし弁護士に相談する場合、残業代請求の成功/不成功にかかわらず、最初に依頼するための着手金が必要な場合が多々あります。残業代請求が通るか分からない中で、弁護士に数十万円を最初に渡すのは抵抗がある方も多いかもしれません。

そんな方におすすめなのが『アテラ 残業代』です。

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②さらに、『アテラ 残業代』を利用すると、敗訴した場合や会社からお金を回収できなかった場合には、立替えてもらった着手金を実質返済する必要がないので、リスク0で残業代請求を行うことができます。
残業代請求をするときのリスクは、最初の着手金を支払うことで敗訴したときに収支がマイナスになってしまうことですが、『アテラ 残業代』を利用することでそのリスクがなくなります。
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着手金にお困りの方、残業代請求のリスクをゼロにしたい方は、ぜひ『アテラ 残業代』をご利用ください。

なお、着手金支払いの負担・リスクではなく、どの弁護士に頼むかでお悩みの方は、ぜひ株式会社日本リーガルネットワークが運営するWebサイト『残業代・解雇弁護士サーチ』の弁護士検索機能をご利用ください。

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