2020/03/09

【弁護士監修】サラリーマンの平均残業時間とは?残業が多い、残業代の未払いがある時の対処法

執筆者 編集部
残業代関連

日本のサラリーマンの平均残業時間は、年齢が高くなるほど短くなる傾向にあります。つまり、若い人ほど残業をたくさんしているといえます。

年齢が低い方は、年齢が高い方と比べると賃金も低いことが多く、20代~30代の方たちのなかには「低賃金で休暇を取る余裕もない」という状況に置かれている人も少なくありません。さらに近年では、法律上定められた残業代が支払われないケースも多く存在し、社会問題ともなっています。

残業代の未払いは、法的手続きを適切に行えば取り戻すことは可能ですが、具体的に何をすればよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、サラリーマンの平均残業時間などについて詳しく見ていくとともに、残業代が未払いである時の対処法について解説します。
 

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. サラリーマンの平均残業時間はどれくらい?


日本のサラリーマンの平均残業時間は、年齢が低い人ほど長くなる傾向にあります。20代~30代にかけてがもっとも残業時間が長く、40代前後から次第に少なくなるといわれています。

実際にデータを見ながら、サラリーマンの平均残業時間について掘り下げていきましょう。

1-1. サラリーマンの平均残業時間

会社員の口コミ投稿サイトであるオープンワーク(旧Vorkers)へ投稿された約6万8,000件のアンケート集計結果によると、サラリーマンの平均残業時間は月間で47時間でした。残業時間が1か月で30時間を超えていると回答した方は、全体の50%以上となっています。

20代~30代にかけて、ほぼ横ばいで残業時間が長い状態が続き、40代になると急激に減少していく傾向もみられます。これは、大手企業を中心に年功序列で管理職となっていく日本企業の特徴ともいえますが、体力面などから残業時間を減らす方も多くいると考えられます。

(参考:『約6万8000件の社員クチコミから分析した‘残業時間’に関するレポート』)

1-2. 残業時間の長い業種とは?

上記のデータによると、残業時間が長い業種には以下のものが挙げられます。

・コンサルティング
・マスコミ
・建築
・不動産
・IT関係
・クリエイティブ系

なかでもコンサルティング業界の残業時間は長く、月平均で83.5時間となっています。また、マスコミ業界も78.6時間と長時間であることがわかります。

残業時間が長い傾向にある業種には、成果物の納入で業務が完了となることが特徴のひとつに挙げられます。このような業種の場合、取引先から納期を指定される場合が多いため、長時間の残業を余儀なくされることが原因のひとつと考えられます。

1-3. 残業時間の短い業種とは?

一方で、残業時間が短い傾向にある業種として以下のものが挙げられます。

・メーカー
・電気、ガス、エネルギー
・事務アシスタント業

これらの業種は、一定の限られた時間内でサービスに従事する性質をもつ仕事といえます。就業終了時間には自動的に業務が終了する場合も多く、残業時間は短くなる傾向にあります。

また、組織力の高い労働組合を持つ企業では、人事制度がある程度確立している場合も少なくありません。残業時間の設定には法律上のしばりもあるため、このような企業においては経営者層との労使交渉が積極的に行われていることも多くあります。

2. 残業は無制限じゃない!法律が定める労働時間とは


ここまで、日本のサラリーマンの平均的な残業時間の実態について解説しました。若年層になるほど長時間の残業が多く、低い賃金で労働しているといえるでしょう。

では、このような長時間残業には法律上の制限はないのでしょうか。残業時間については、労働基準法で明確に上限が定められています。この上限を超える残業を継続的に労働者へ強いる企業に対しては、刑事罰が科せられるケースもあります。ここでは、法律が定める労働時間について詳しく見ていきましょう。

2-1. 労働時間の定義

労働基準法では、「労働時間」に対して雇用契約で定めた金額の賃金を支払わなくてはならないとしています。

労働時間とは、実際に作業をしている時間だけが該当するわけではなく、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」がすべて該当します。つまり、「会社の指示でしている」ことであれば、社内にいない場合であっても労働時間とみなされるわけです。

たとえば、取引先を訪問しているときやその移動時間、待ち時間など職務遂行上必要なものであれば、それらはすべて労働時間となります。なかには、待ち時間などは労働時間とみなさず一律に休憩時間とする企業もありますが、これは違法であるといえます。

2-2. 法律が定める法定労働時間とは

労働基準法が定めている労働時間の上限について見ていきましょう。

労働基準法が定める上限の労働時間のことを「法定労働時間」と呼びます。法定労働時間は、「1日8時間・週に40時間」が原則です。これを超える労働については「残業時間」として扱わなくてはなりません。

たとえば、1日に9時間の労働をした日があれば、その日には1時間の残業時間が発生していることになります。

1日7時間労働で週6日勤務である場合は、1日で考えると法定労働時間の範囲内であるように思えますが、1週間として考えれば42時間の労働となるため、2時間の残業が発生していることになります。

残業時間として働いた時間には、通常の賃金に一定の割増率をかけて計算した割増賃金を支払わなくてはなりません。

2-3. 法律が認める残業時間とは

企業が雇用する労働者の労働時間は、法定労働時間の範囲内であることが原則です。一方で、法定労働時間内の就業では業務が終わらないこともあるでしょう。

そのため、企業と労働者はあらかじめ「この時間数までは、残業が発生してもよい」という内容の協定を締結します。これを36協定と呼びます。

企業と労働者の間で36協定が書面で結ばれる場合は、以下のように残業時間を設定することが可能です。

・1週間に15時間まで
・2週間に27時間まで
・1か月に45時間まで
・1年に360時間まで

なお、2019年4月以降に施行されている「働き方改革法」では、36協定に特別条項がある場合の法律上の上限時間に関する新たなルールも定められています。

とくに中小企業では、この残業時間の概念について正しく理解していない人事担当者や経営者もいるため、残業代の未払いが発生しているケースが少なくありません。

3. 残業時間が上限を超えるとどうなる?


企業が、定められている残業時間の上限を超えて労働者を働かせた場合は、どのようなことになるのでしょうか。

ここでは、「労働者が残業代をいくら受け取れるのか」という点と、「違法な残業を強いる企業に対してどのようなペナルティがあるのか」という点について見ていきます。

3-1. 残業時には割増賃金が必要

労働者が会社の指示に従い残業した場合は、その時間数に対して割増の賃金を支払わなければなりません。割増の賃金額は、以下の計算式に従って算出します。

・1時間あたりの通常賃金×時間外労働をした時間数×割増率

「1時間あたりの通常賃金」は、月給制の場合、通勤手当などを除く「基本給」を1か月間の平均所定労働時間で割って計算します。

たとえば、月給20万円で1か月の平均所定労働時間が170時間であれば、1時間あたりの通常賃金は、1,176円となります。この1時間あたりの通常賃金へ、割増率を加えてかけたものが割増賃金です。通常の残業では、割増率は0.25となります。

上記のケースであれば、1時間あたりの通常賃金1,176円×(1+0.25)=1,470円が、残業をした場合の1時間あたりの賃金となります。この1,470円に、1か月間に残業した時間数をかけて残業代を算出します。

残業時間が30時間だった場合は、1,470円×30時間=4万4,100円が残業代として支給されることになります。

3-2. 上限を超えて働かせると罰則がある

企業が上限時間を超える残業を労働者にさせ続けた場合には、どのようなペナルティがあるのかについて考えてみましょう。

悪質なケースでは、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が企業へ科せられることもあります。実際ではこのような刑事罰が科せられるケースは珍しく、多くの場合は労働基準監督署による調査と、是正勧告により改善されます。

是正勧告は行政指導であるため法的な強制力はありませんが、これを放置した企業は労災事故が起きたときなどに極めて不利な立場に置かれることも多く、勧告に従う企業がほとんどです。

 

4. 未払いの残業代を取り戻すには?


ここまで見てきたように、企業は労働者が法定労働時間を超えて働いた場合、割増の賃金率で計算した残業代を支給する義務があります。

しかし、この残業代の仕組みについて理解していない企業の人事担当者は少なくありません。また、意図的に残業代の支給をしていない企業も存在します。

ここでは、会社から未払いとなっている残業代を取り戻すための方法を解説します。

4-1. 証拠を集める

まずは、実際にどれだけの残業時間が発生しているのかを知る必要があります。残業代を請求する際には、具体的な金額の計算や立証の義務が労働者側にあるからです。

タイムカードの労働時間の記録など、「この日のこの時間に労働していた」と主張する証拠となるものを集めましょう。

タイムカードのコピーなどを取得できることが理想ですが、毎日作成している日報データなどがあれば、証拠として使える場合もあります。仕事の連絡事項が記載された業務メールやLINEなどの送受信履歴、パソコンのログアウト画面のスクリーンショットなども証拠となりえるため保存しておきましょう。

4-2. 残業代を計算する

残業時間数がわかったら、次に残業代の計算をします。法定労働時間を超えて残業した時間数には、割増率を加えた1時間あたりの賃金をかけて計算し、企業へ請求する金額を出しましょう。

法定休日に出勤した日や、深夜時間に残業した分については、通常よりも割増率が高くなります。ただし、すでに支給をされている残業代があれば、その分を差し引いておきましょう。

また、未払いとなっている残業代は、過去2年分まで請求が可能です。労働基準法115条で「賃金や災害補償その他の請求権は2年間」と定められているからです。残業代の請求権は、支給日より2年を経過すると消滅することを覚えておきましょう。

4-3. 会社へ交渉する

未払いとなっている残業代の金額が判明したら、その支払いを求めて会社に交渉します。

会社や上司に直接交渉することが原則となりますが、現在も就業中の方であれば直接相手と話し合うことは難しいケースもあるでしょう。また、すでに退職している場合は、企業側に取り合ってもらえないことも考えられます。

このような場合は労働法を専門としている弁護士に相談し、弁護士から内容証明を送付することが効果的です。

弁護士経由で交渉を始めれば、あなたが本気で残業代を回収しようとしていることが企業側に伝わり、交渉に応じてくれる可能性が高くなるでしょう。残業代の請求は過去2年間までしかできないため、できるだけ早く行動を起こすことが大切です。

5. まとめ

日本のサラリーマンの平均残業時間について説明するとともに、すでに発生している未払いの残業代を回収するにはどのような対処が必要であるのかを解説しました。未払いとなっている残業代は、弁護士を通して企業へ請求することが効果的であり、回収できる可能性も高くなります。

ただし弁護士に相談する場合、残業代請求の成功/不成功にかかわらず、最初に依頼するための着手金が必要な場合が多々あります。残業代請求が通るか分からない中で、弁護士に数十万円を最初に渡すのは抵抗がある方も多いかもしれません。

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