2020/03/06

【弁護士監修】休日出勤にも種類がある?手当が発生するケース・しないケースとは

執筆者 編集部
残業代関連

本来は休みである日に出勤して働くことを「休日出勤」と呼びますが、法律上の休日出勤にはいくつか種類があることをご存知でしょうか。
実際に行った休日出勤が、法律上どの種類の休日出勤に該当するかによって、受け取れる残業代の計算方法が異なるため注意が必要です。

勤務先の会社がこうした種類の違いについて正しく理解していて、正しい金額の残業代を支給してくれているのなら問題ありませんが、実際にはそうでないケースもあります。
企業側が休日出勤の給与計算処理を勘違いしていたり、意図的に異なる計算方法を採用したりと、未払いの残業代が発生している可能性もあります。

この記事では、休日出勤をした場合の法律上の残業代支給のルールについて解説するとともに、未払いの残業代がある場合にどのような対処をすればよいのかを見ていきます。
 

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 休日出勤の定義とは?


日常会話で使われる「休日出勤」という言葉と、残業代を計算する際の「休日出勤」とでは、意味合いはすこし異なります。残業代請求を検討する場合は、法律上の正しい言葉の意味について理解しておくことが大切です。

ここでは、休日出勤の意味について解説していきます。休日出勤とはどのようなことを指すのかを知っておきましょう。

1-1. 休日出勤とは?

「休日出勤」とは、一般的には、「企業が就業規則に定めている休日に働くこと」を意味します。ここでいう就業規則とは、従業員が働くにあたり定められた「働き方のルール」ともいえます。就業規則は従業員へ公開する義務があるため、事業所内に備え付けられているものです。

たとえば、月曜日~金曜日は出勤、土日祝日は休みと定めている企業であれば、土日祝日に出勤することを一般に「休日出勤」と呼びます。

他方で、残業代を計算する場合、休日出勤には「休日割増率で計算した賃金(135%)が支給される法定休日出勤」と「割増ではない通常の賃金率で計算した賃金が支給される法定外休日出勤」の2つがあることを覚えておきましょう。法定休日に労働した場合のみ、残業代は休日割増賃率で計算した金額(135%)になります。

1-2. 休日は就業規則によって決まる

企業は従業員にどのような形で働いてもらうかを就業規則というルールで定めています。

従業員にとって「休日がいつになるか」は重要なことであり、休日に関するルールも就業規則に含まれていることが一般的です。いつ休んでいつ働くかの判断は、就業規則にもとづいて決められています。

週2日以上休日がある場合には、いずれが法定休日になるのかは就業規則で指定されているのが通常です。

1-3. 就業規則上の休日は法定労働時間の規制を満たすように作られている

就業規則の内容は、法律のルール(労働基準法)に従ったものでなくてはなりません。従業員の休日は、労働基準法所定の「法定労働時間」をもとに作られた就業規則によって決まります。

法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働ができる限度の時間をいい、「1日8時間、週に40時間まで」と決められています。

就業規則の内容が労働基準法で定められている範囲を超えている場合は、その超えている部分は無効となります。

2. 休日にも種類がある!「法定休日」と「法定外休日」の違い


法律上の休日出勤には、以下の2種類があります。

・「法定休日」に出勤した場合の休日出勤
・「法定外休日」に出勤した場合の休日出勤

法定休日に労働した場合は、残業代が休日割増賃金(135%)となるのに対し、法定外休日に労働した場合は、原則として残業代は割増賃金とはなりません(ただし、既に労働時間が週40時間に到達している場合は、法定外休日労働に対して通常の割増賃金(125%)が支払われます。)。ここでは、休日出勤の法律上の定義について見ていきましょう。

2-1. 法定休日とは?

法定休日とは、労働基準法で定められた「1週間に1回、もしくは4週で4回」という条件に合致する休日のことをいいます。従業員を雇用する企業は、従業員に対して法定休日を付与しなくてはなりません。

これは労働基準法35条で定められている「企業が必ず守らなくてはならないルール」です。

賃金をたくさん払うかわりに休日に働かせたり、あとで代休をたくさんとらせるかわりに1か月間休みなく働かせたりすることは、法律で認められていません。

なお、一般的に日曜日を法定休日に指定している企業も多くありますが、法定休日は必ずしも曜日を定める必要はありません。あくまでも「1週間に1日、4週間に4回」の休日を付与することが条件です。1週間のうちどの日を法定休日とするかは、企業が自由に設定することができます。

法定休日に従業員が労働した場合は、企業は休日割増賃金(135%)を残業代として支給しなくてはなりません。「法定休日に労働した場合は、通常よりたくさんの給料が受け取れる」と考えておきましょう。

2-2. 法定外休日とは?

法定外休日とは、労働基準法で定められたものではなく、企業が独自に定めている休日をいいます。

法定外休日に労働した場合も残業代の支給はされますが、原則として割増分の支給はありません。既に労働時間が週40時間に到達している場合のみ、割増分(25%)が支払われます。「出勤日ではない日に出勤したのだから、35%割増の残業代がつくはず」と理解していると正しい残業代を算出できないため注意しましょう。

たとえば、1日5.5時間勤務で、1週間のうち土日の2日間を休日に指定している企業であるとします。

労働基準法上では、「1週間に1回または4週間に4回」が休日の最低条件となるため、毎週土日の両日が休みである場合は、このうちどちらかの曜日は法定休日となり、もうひとつの曜日は法定外休日となります。

法定休日である日曜日に労働をすれば休日割増の残業代(135%)となりますが、法定外休日にあたる土曜日に労働をしても、週40時間に到達しないことから割増の残業代とはなりません。

3. 休日出勤手当が発生するケース


休日に労働した従業員に対しては、通常よりも割増した賃金を支払わなくてはなりません。これを休日出勤手当と呼び、休日に働いた労働時間数に対して割増の賃金率をかけて算出します。

ただし、上記のとおり、休日出勤手当の計算は、「法定休日」と「法定外休日」とでは扱いが異なります。法定休日の休日出勤では休日割増率で計算した休日出勤手当が支給されますが、法定外休日の休日出勤では原則として通常の基礎賃金で計算した残業代しか支給されません。

3-1. 法定休日に出勤

法定休日に出勤した場合、その日に働いた労働時間すべてについて、割増賃金率で計算した休日出勤手当が支給されることになります。

具体的には、通常の1時間あたりの基礎賃金に1.35倍の割増率をかけた金額を残業代として支給します。この場合に支給される残業代の計算方法は以下のとおりです。

・残業代=残業時間×(1時間あたりの基礎賃金×1.35)

3-2. 法定休日に出勤、かつ代休を取得

法定休日に労働し、後日その分の代休を取得した場合には、残業代の扱いはどのようになるのでしょうか。

ここでいう「代休」とは、休日出勤した分について、あとから休みを取得することをいいます。たとえば、日曜日に休日出勤したために、かわりに月曜日を休みとする場合などです。

この場合、代休を取ったとしても法定休日に労働したことには変わりないため、割増の賃金率で計算した残業代が支給されることになります。ただし、代休日の通常賃金分は支給額から控除することができます。

 

4. 休日出勤手当が発生しないケース


法定外休日に出勤した場合は、原則として残業代は割増になりません。通常の基礎賃金で計算した残業代が支給されることになります。

法定外休日に労働した際の残業代は、通常の1時間あたりの基礎賃金に残業時間をかけた金額となります。

たとえば、基礎賃金が20万円で所定労働時間が月150時間なら、1時間あたりの基礎賃金は1,333円です。この金額に残業した時間数をかけて残業代を計算します。

4-1. 法定外休日に出勤

法定外休日に労働したことで労働時間が週40時間を超えた場合は、法定外休日であっても割増の残業代(125%)が支給されます。

たとえば、月曜日~金曜日の5日間は毎日8時間の労働をして、本来は休日である土曜日にも3時間の労働をしたとします。

この場合、1週間の合計労働時間は43時間となります。法定労働時間は週40時間となるため、超えている3時間については割増で計算した残業代(125%)が支払われることになります。

1日あたりで考えると法定労働時間の範囲内であっても、1週間で考えた場合に範囲を超える場合には、割増で計算した残業代の対象となるケースがあることを覚えておきましょう。

4-2. 管理職が行う休日出勤

一般的に管理職にある従業員は、休日出勤をした場合でも残業代は割増になりません。ただし、ここでいう「管理職」とは、労働基準法でいう「管理監督者」に該当している場合に限られます。

従業員が管理監督者に該当するかを判断するには、以下の基準が用いられます。

・企業全体の経営に関与しているか、少なくとも1つ以上の部門の統括者であること
・部下の採用・昇格・解雇の決定権限がある等、労務管理上の相当の権限があること
・自分自身の出勤時刻、退勤時刻を自分で決められる立場にあること
・他の従業員と比べて、相当の金額差がある高額の給与が支給されていること

上記の基準を満たしておらず、事実上の「管理職」へ該当していない従業員に対して、「あなたは管理職だから割増残業代は支払わない」とすることは違法です。

適切な残業代が支払われないケースを「名ばかり管理職」と呼ぶこともあり、未払いの残業代が発生していることも多くあります。このような場合、あとからまとめて企業へ残業代を請求することが可能です。

4-3. 振替休日が適用できる場合

振替休日とは、企業が事前に決めた休日を労働日へ変更するかわりに、別の労働日を休日として付与することをいいます。

振替休日と代休は同じようなものと思われがちですが、振替休日には「休日労働の前日までに振替日を指定して従業員に伝えなくてはならない」というルールがあります。これに対し、代休は事後に休日を取得することをいいます。

法定休日に労働したあとに代休を取るケースでは、その法定休日の出勤時間には割増の残業代が支給されますが、振替休日があらかじめ指定されている場合は、法定休日に労働しても残業代が割増とはなりません。通常の出勤日に労働したことと同様であるとされるのです。

 

5. 休日出勤手当の金額は?支払わなければ違法になる?

企業が従業員を休日出勤させた際には、その分の手当を支給しなくてはなりません。休日出勤手当を支給しない場合、刑事罰が科せられることもあります。

また、従業員はあとから未払いの休日出勤手当を企業側に請求することも可能です。ここでは、休日出勤手当について詳しく見ていきましょう。

5-1. 休日出勤手当

休日出勤手当とは、法定休日に労働した時間を残業時間とし、割増の賃金で計算した残業代のことをいいます。

法定休日に労働した場合の割増率は0.35です。通常の1時間あたりの基礎賃金に35パーセントを加算して残業代を計算します。

たとえば、1時間あたりの基礎賃金が2,000円で、法定休日に労働したことによる残業時間が20時間だったとします。

この場合の残業代は、20時間×2,000円×(1+0.35)=5万4,000円となります。通常の基礎賃金で計算した場合と比べると、実際に受け取れる金額は大きくなります。

5-2. 対価のない休日出勤は違法

労働基準法37条によると、従業員を法定休日に労働させた場合は、割増賃金を支払わなければなりません。

企業側が対価である割増賃金(残業代)を支払っていない場合は違法となり、「懲役6か月以下または30万円以下の罰金」という刑事罰が科せられることもあります。

残業代が未払いであるケースでは、刑事事件となる前に労働基準監督署による是正がなされたり、従業員側から未払いの残業代請求が行われたりするため、多くの場合はその時点で改善がみられます。

 

6. 覚えておきたい!休日出勤手当の具体的な計算方法


休日出勤をしたときに、どれくらいの休日出勤手当が支給されるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。事前に計算方法を覚えておけば、すぐに算出することが可能です。休日出勤手当(割増の残業代)の計算式は以下のとおりです。

・休日出勤手当=基礎賃金×割増率×出勤した時間

ここでは、それぞれの項目について解説します。

6-1. 基礎賃金を計算

従業員の1時間あたりの賃金を「基礎賃金」といいます。
正社員として働くサラリーマンであれば、給料を月給で受け取ることも多いでしょう。この月給を1か月あたりの所定労働時間で割れば、基礎時給を算出できます。計算式は、以下のとおりです。

・基礎賃金=月給÷1カ月の所定労働時間

たとえば、月給20万円の場合に、1か月の所定労働時間が170時間なら、20万円÷170時間=約1,176円が基礎賃金になります。

なお、ここでいう月給は、正式には総支給額から通勤手当など一部の手当を差し引いた金額となります。

6-2. 割増率をかける

法定休日に出勤した場合は、賃金は割増で計算されます。
この場合の割増率は0.35となり、法定休日に労働した時間については、1時間あたり1.35倍の賃金を受け取ることができます。

たとえば、1時間あたりの基礎賃金が2,000円であれば、2,000円×1.35倍=2,700円を1時間あたりに受け取れる計算になります。

なお、同じ休日出勤であっても、法定外休日の休日出勤や、振替休日があらかじめ決まっている休日出勤では、この割増率の適用はないため注意しましょう(ただし、既に労働時間が週40時間に到達している場合は、通常の割増賃金(125%)が支払われます。)。企業側に未払いの残業代を請求する場合は、正しい残業代の計算方法を事前に理解しておくことが大切です。

6-3. 出勤した時間をかけて計算

「休日出勤1時間あたりの時給×休日出勤の合計時間」を計算することで、休日出勤手当の金額を算出できます。
法定休日に休日出勤した日の労働時間は、すべて残業時間とみなされます。つまり、その日に労働を開始した時間から終了した時間までのすべての時間が残業時間となります。

たとえば、休日出勤して労働を開始した時刻が9時で、休憩1時間をはさみ18時まで労働した場合は、8時間の労働となります。

その8時間はすべて残業時間として休日出勤手当の計算に含めます。労働した時間すべてに割増の賃金が適用されることを覚えておきましょう。

 

7. まとめ


企業へ残業代を請求するためには、普段の残業時間や休日出勤の際の合計時間を正確に記録しておく必要があります。

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