2020/02/10

【弁護士監修】深夜手当は何時から何時まで出るの?計算方法を具体例と合わせて紹介

執筆者 編集部
残業代関連

会社勤めの方のなかには業務が多く深夜残業もしばしば、という方もいるのではないでしょうか。仕事をした分の深夜手当が支払われていればよいですが「きちんと払ってもらえているかわからない……」という方も少なくありません。
そこでこの記事では、深夜手当の定義や計算方法を基礎から解説します。きちんとした報酬をもらうことも大事ですが、1日で働いてよい時間は法で定められていますので、無理のない労働環境に整えることも必要です。
深夜手当についての正しい知識をもてば、不当な深夜労働・深夜残業に声をあげることもできるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
 

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 深夜手当の定義


「深夜手当とは何か」「法律上どのように定義されているものなのか」「深夜手当がもらえるのは何時から何時までなのか」といった基本的なことを、以下で解説しています。深夜手当について知識を深めていくうえでの最初のステップとして、ぜひ頭に入れておきたい大事なポイントです。

1-1. 深夜手当、深夜割増賃金とは

一般的に「深夜手当」と呼ばれているのは、法律でいう「深夜割増賃金」のことです。労働者を守るための法律である「労働基準法」では、深夜の時間帯に仕事をさせた場合に「深夜割増賃金」として通常より高い賃金を支払うことを義務づけています。実際の条文を確認してみましょう。

【労働基準法 第37条 第4項】
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

具体的には「基礎賃金の25%増し以上」の賃金を支払うこととしています。正当な深夜料金かどうか就労規則や給与明細を確認してみましょう。

1-2. 深夜手当が適用されるのは何時から何時まで?

「深夜」とは具体的に何時から何時までを指すのでしょうか。上で載せた条文にも記載されているように、労働基準法では「22時から翌朝5時」の間の労働を深夜労働と定め、深夜割増賃金の対象としています。時間としては7時間です。
「24時を過ぎたら(日付が変わったら)深夜手当が発生する」と誤解をしている方もよくいるのですが、深夜手当が出る時間帯の始点は「22時」となります。もしも「深夜手当が正しく支払われていないかもしれない……」と思う方は、一度会社に確認してみるのもよいでしょう。

2. 深夜手当の計算方法


続いて、受け取れる深夜手当の金額を導き出す計算方法を紹介していきます。そこまで難しい計算内容ではないので、ぜひ自分の実際の条件に当てはめながら受け取るべき深夜手当を算出してみましょう。不当な低賃金で働かされることを防ぐためにも、知っておくと役に立つ計算です。

2-1. 時間外労働の残業と深夜残業は組み合わせて計算していく

深夜労働には割増賃金(基礎賃金の25%増し以上)が必要ですが、法律は時間外労働(残業)にも25%増し以上の割増賃金を義務づけています。では、深夜労働が残業にも当てはまる場合はどうなるのでしょう。
結論から言うと、単純に「割増率を足せばよい」のです。つまり深夜労働が残業にも当てはまる場合の割増率は「残業分の割増率(25%増し)+深夜労働分の割増率(25%増し)=50%増し以上」となります。
例として、所定労働時間が「10時から19時(1時間の休憩あり)」の人が「24時まで会社に残った」場合を考えましょう。
法律では1日の労働時間を原則8時間としているため、19時以降は残業です。さらに、22時から24時は深夜労働にもあたります。この場合は「19時から22時は基礎賃金の25%増し以上」「22時から24時は50%増し以上」の割増賃金が受け取れることになります。

2-2. 例でみる深夜手当の計算方法

わかりやすいように、具体例を使って実際の計算を行ってみましょう。時間については、先ほど紹介した例と同じ内容で考えます。
(条件)
・所定労働時間:10時~19時(1時間の休憩あり)
・時給1,000円
・24時まで残業した場合
まず10時~19時は、法律が定めた8時間労働の範囲内のため「時給1,000円」です。19時~22時は残業のため、基礎賃金の25%増しで「時給1250円」となります。そして22時~24時は残業・深夜労働が重なっているため、50%増しの「時給1,500円」です。
通常の残業となる「19時~22時」と、さらに深夜労働が重なっている「22時〜24時」の時給が異なることに注意しましょう。深夜手当がついているか、いないかの違いです。

2-3. 法定休日に深夜労働をした場合

法律では、休日出勤に対しても割増賃金を義務づけています。法定休日(週1回または4週間に4回以上与えなければいけない休日)に労働した場合は、35%増し以上の割増賃金を支払うこととしています。
そして、法定休日労働が深夜労働にも当てはまる場合には、残業のときと同様に割増率を足して深夜手当の計算をします。「法定休日労働分の割増率(35%増し)+深夜労働分の割増率(25%増し)=60%増し以上」
一見複雑ですが、基本的なルールさえ把握できればそこまで難しい計算ではありません。ぜひ自分の条件に当てはめて計算し、きちんと正当な深夜手当をもらえているか確認してみましょう。

3. 深夜残業を減らす4つの方法


深夜手当の具体的な計算方法を紹介しましたが、もし所定労働時間内でなく残業として深夜労働をしているのなら、その状況は改善したほうがよいでしょう。深夜手当(残業手当)を支払う会社にとっても、なにより自分にとっても大きな負担になっているはずです。そこで、深夜残業を減らすために実践したいポイントを紹介していきます。

3-1. 朝型で仕事をする

「夕方や夜は頭の回転が鈍くなる気がする……」と感じたことはないでしょうか。1日のなかで脳の働きが活発なのは午前中、というのはよく聞く話です。優先順位の高い仕事やその日中に必ず終わらせなければならない仕事は、午前中のうちに済ませてしまうとよいでしょう。
そのためには、会社に少し早く着いてしっかり準備を整えてから仕事をスタートさせることが大切です。始業ギリギリに駆け込むことも多い……という方は、まずその習慣を見直すことから始めてみましょう。

3-2. 仕事量を相談する

自分の工夫や努力ではどうしても残業を減らせない、という場合もあるかもしれません。そのような場合は、会社に相談してみるのがおすすめです。自分で全部を抱え込まず、無理なときは無理とはっきり意思表示しましょう。
自分で思っているより、周りの人は自分の状況をわかっていないものです。きちんと言葉に出して伝えないと協力は得られません。また、手が空いていそうな人に協力してもらうことも大切です。日頃からチームで仕事をこなす習慣を心掛けると、困ったときにお互い協力しやすいでしょう。

3-3. 夜に予定を入れる

夜に予定が入っている日は、仕事の進みが早いと感じたことはないでしょうか。仕事の後に何か用事があると、その用事に遅れないよう早く仕事を終わらせようと考えるものです。考えていなくても、その用事を楽しみにすることでモチベーションが高まり、自然と仕事のペースがアップします。
時間内に仕事を終わらせるために、人と会う用事や好きなアーティストのライブ、買い物など、何か自分が楽しみにできるような予定を入れてみましょう。

3-4. 仕事の優先順位を明確にする

その日の仕事に優先順位をつけることも、重要です。手元にきた仕事をただ順繰りに進めていては、ダラダラと効率の悪い仕事をしてしまう原因になります。効率よく進めるには、重要なもの・緊急度の高いものから優先的に取り組む習慣をつけましょう。
「To Doリスト」を作成して、優先順位をわかりやすく整理しておくのもおすすめです。仕事の途中で何か別の仕事を頼まれて作業がストップしてしまったときなどにも、その後どの仕事に手をつければよいのか判断しやすくなります。

4. 深夜手当に関するよくある質問


最後に、深夜手当に関して寄せられることの多い質問・疑問をいくつかピックアップしてみました。それぞれについてわかりやすく回答をまとめましたので「深夜手当の知識をもっとよく知りたい」という方はぜひチェックしてみてください。

4-1. 夜勤手当と深夜手当の違いは何?

似た名前のついた「夜勤手当」と「深夜手当」については、その違いがよくわからない……という方も少なくありません。
深夜手当は、これまで紹介したように法律(労働基準法)が定めたものです。深夜労働に対して支払うことが義務づけられた手当のことを指します。
一方で夜勤手当は、労働基準法が定めたものではありません。そのため支払いは義務ではなく、雇用主(会社)の意思により支払うかどうかを決められます。この点が大きな違いです。

4-2. 管理職にも深夜手当は出るの?

法律上の「管理監督者」にあたる管理職には、通常の残業に対する手当が義務づけられていません。しかし、深夜手当は一般社員と同じようにもらえます。そのため、22時以降の残業には手当がつきます。
ただ通常残業の手当がない分、同じ深夜残業であっても一般社員より深夜残業の残業代は安くなります(深夜手当の割増率のみが発生)。また、深夜手当は「基本給から割増」されるのも大きなポイントです

4-3. 深夜手当込みの場合はどうなるの?

深夜手当は基本給から25%割増しにする必要がありますので、夜勤のときは受け取る時給から「基本給」と「深夜手当」を分けて確認します。深夜手当は25%なので、受け取っている時給から25%差し引けば「基本給」が算出できます。
例を挙げると、最低賃金が1,000円で「昼間1,000円/深夜1,125円」の募集があるとしましょう。この1,125円に「深夜手当込み」という趣旨の記載がある場合、逆算すると基本給が900円となります。
昼間よりも基本給が低く、最低賃金を100円下回っているのがわかります。「深夜手当込み」という記載があったら、基本給が最低賃金を下回っていないかきちんと確認しましょう。

4-4. 女性は深夜労働をしてもよいの?

1999年3月までは、女性が深夜に働くことを禁止している業種もありました。しかし昨今ではそのような制限はなく、女性も男性と同じように働けます。
ただし、妊婦中の女性は深夜労働を拒否でき、会社がそれを強制することはできません。出産してから1年が経っていない女性も同様の条件です。また、18歳未満の「年少者」に関しては、深夜労働や1日8時間を超えた労働をさせると違法になります。アルバイトなどで年少者を雇う場合は、注意しましょう。

5. 深夜手当は未払いの請求ができる

ここまで解説してきたように、深夜労働(深夜残業)をした従業員に支払う深夜手当は、労働基準法が定める義務です。そのため、深夜手当をきちんともらえていない場合、会社に対して請求できます。
請求する場合は、法律の専門家である弁護士に頼みましょう。自分で請求するよりも成功率が高く、取り返せる額も大きくなることが多くあります。また、すべてを任せられるため労力や精神的負担がありません。
そして、請求をよりスムーズにするには、自分の残業記録(証拠)を残していることが重要です。請求を考えている方は、ぜひ労働時間の証拠を簡単に残せる無料のアプリ『ザンレコ』を利用しましょう。
『ザンレコ』は、自分のスマートフォンにインストールするだけで、GPS機能によって自動的に労働時間の証拠を残してくれます。さらに、家や職場の近くの弁護士を簡単検索することも可能です。

6. まとめ


この記事では、深夜手当についてくわしく解説してきました。深夜手当は法律で定められているため、残業代や夜勤勤務としてごまかされていた方は深夜手当を取り戻すことが可能です。
これまで多くの残業をしてきた方、今も深夜残業で苦労されている方は、ぜひ請求を検討してみましょう。2年以内という期間の上限があるため、早めの請求がおすすめです。ひとりで悩まず、専門家に相談すると問題解決の近道になります。
ただし弁護士に依頼する場合、残業代請求の成功不成功にかかわらず、最初に依頼するための着手金が必要な場合が多々あります。残業代請求が通るかわからない中で、弁護士に数十万円を最初に渡すのは抵抗がある方も多いかもしれません。

そんな方におすすめなのが『アテラ 残業代』です。
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