2021/06/08

【弁護士監修】不当解雇の慰謝料相場は? 請求はどうしたらいい?

執筆者 編集部
残業代関連

「不当解雇された場合の慰謝料の相場はどれくらい?」
と考えている方もいることでしょう。

不当解雇で認められる慰謝料は、数十万円~100万円が相場といわれています。
ただし、慰謝料以外に、解雇されてから未払いの賃金や、退職を前提とした解決金なども受け取れるケースが多くあります。
この記事では、不当解雇の慰謝料相場、および請求の方法についてご紹介します。

 

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 不当解雇とは?

不当解雇とは、法的に正当性がない解雇のことです。
労働契約法第16条に、

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

と定めがあり、解雇は簡単にはできません。
法的なさまざまな要件を満たすことが必要です。
そのような法的な要件を満たさずに行われる解雇が不当解雇ということになります。

2. 不当解雇の慰謝料相場

実は、不当解雇だからといって、すべてのケースで慰謝料が請求できるわけではありません。
慰謝料が請求できるのは、不当解雇の中でも特に違法性が強いケースに限られます。
それはたとえば、以下のようなケースです。

・セクハラに抗議したら、それを理由に解雇された
・会社の労働条件不利益変更を労働基準監督署に相談したら、それを理由に解雇された

慰謝料の相場は、違法性の程度により異なりますが、数十万円~100万円くらいです。

ただし、不当解雇においては以下のようなものを受け取れるケースが多くあります。

・不当解雇された日から未払いの賃金
不当解雇が「無効」とされれば、会社にはまだ在籍していることになります。したがって、未払いとなっている賃金が請求できます。

・退職を前提とした解決金
不当解雇を労働審判で争った場合には、退職を前提とした解決金の支払いで和解するケースが多いです。
解決金の相場は、会社に解雇の正当な理由が全くない場合には、賃金の12ヶ月分以上といわれています。

3. 不当解雇の慰謝料を請求する方法

不当解雇の慰謝料を請求する方法を見てみましょう。

3-1. 証拠を集める

慰謝料を請求するにあたってまず重要なのは、不当解雇の証拠を集めることです。
不当解雇の証拠として必要なのは以下のようなものとなります。

・解雇通知書・解雇理由証明書
渡されない場合には会社に発行を請求しましょう。
従業員から解雇理由証明書の発行を請求されたら、会社は断ることができません。

・解雇にいたるまでのやり取りの記録
書面やメールはすべて保存しておきましょう。
口頭でのやり取りはICレコーダーで録音しておきましょう。

・雇用契約書や就業規則・賃金規定
雇用契約書は、渡されなかった、あるいは紛失したなどの場合には再発行を会社に請求しましょう。
就業規則や賃金規定は、一般の会社では誰でも閲覧できるように備え付け、あるいは社内ネットワーク上への掲載がされていると思います。

・人事評価書
渡されていない場合には会社に発行を請求します。

3-2. 内容証明を送る

証拠を集め終わったら、内容証明郵便を会社に送ります。
内容証明郵便は、文書の内容と日付・宛先を日本郵便が証明してくれるものです。
送る文書の内容は、以下の2つのうちいずれかになるでしょう。

・解雇の無効を求め、復職と解雇後の未払い賃金、および慰謝料を請求する
・解雇の無効を求めるものの、復職は求めず、解雇されていなければ得られていたはずの賃金と慰謝料を請求する

ただし、本当は復職するつもりがなくても、会社との交渉材料にするため戦術的に復職を求めるケースは多くあります。
会社は「なんとか会社を辞めてほしい」と思っていることが多いため、退職させるために慰謝料の増額に応じるケースも多いからです。

3-3. 労働審判を申し立てる

弁護士に相談した場合には、以上の手続きと話し合いだけで希望の未払い賃金や慰謝料が支払われるケースも多くあります。
ただし、話し合いでは解決しない場合には、労働審判の申し立て、あるいは訴訟の提起をします。
労働審判は、審判に強制力はないものの、訴訟より短期間に問題解決できる可能性があります。

3-4. 訴訟を起こす

労働審判でも問題解決できなかった場合、あるいは労働審判への申し立ては不適切な場合には、訴訟による問題解決を目指します。
訴訟の提起は、弁護士の協力なしには難しいかもしれません。

4. より高額の慰謝料をもらうためには?

より高額の慰謝料をもらうための方法を見てみましょう。

4-1. 証拠をしっかりと集める

より高額の慰謝料をもらうためにまず重要なのは、証拠をしっかり集めることです。
証拠が揃っていれば、会社は「訴訟をしたら負ける」と考えるため、話し合いでの解決にもつなげやすいです。

4-2. 労働問題に強い弁護士に依頼する

より高額の慰謝料をもらうために次に重要なのは、労働問題に強い弁護士に依頼することです。
弁護士は交渉のプロフェッショナルですので、依頼することにより以下のようなメリットが得られます。

・証拠集めを弁護士に教えてもらいながらポイントを押さえて進められる
・従業員自らが交渉するより弁護士が交渉するほうが、会社が真剣に対応する
・慰謝料の増額に会社が応じやすい
・労働審判や訴訟も安心して進められる

5. まとめ

不当解雇された場合は、会社から慰謝料や未払い賃金、解決金など、1円でも多く受け取りたいと思うでしょう。
その場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。
労働問題に強い弁護士は、依頼者の悔しい気持ちをしっかり受け止め、良きパートナーとして共に戦ってくれることでしょう。

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