2020/10/26

【弁護士監修】労働基準法における残業の定義とは?上限や罰則についても解説!

執筆者 編集部
残業代関連

「労働基準法で残業の定義はどうなっているの?」
「残業時間の上限や違反した場合の罰則は?」
と考えている方もいることでしょう。

労働基準法において、残業の定義ははっきりと決まっています。上限も定められていて、上限を超えた場合には罰則が科されることもあります。

この記事では、労働基準法における残業の定義、上限時間、および罰則について詳しくご紹介します。

 

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. 労働基準法での残業の定義とは?

それでは、労働基準法での残業の定義を見ていきましょう。残業には「時間外労働」と「休日労働」の2つがあります。

1-1. 時間外労働とは?

労働基準法では、労働時間について次のように定められています。

「第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」

この「1週間で40時間、1日で8時間」の労働時間は「法定労働時間」と呼ばれ、法定労働時間を超える時間での労働は「時間外労働(法外残業)」となります。

1-2. 休日労働とは?

また、労働基準法には、休日について次のような規定があります。

「第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない」

この「毎週1日、または4週間で4日」の休日は「法定休日」と呼ばれ、法定休日での労働は「休日労働(法定休日労働)」と呼ばれます。

1-3. 時間外労働の例

時間外労働の例として、次のような勤務形態を考えてみましょう。

・出勤時間:9:00
・退勤時間:17:00
・休憩時間:12:00~13:00

上の勤務形態では、1日の労働時間は休憩時間を除いて「7時間」です。この7時間は、会社で決められている労働時間であり「所定労働時間」と呼ばれます。

この勤務形態で、17:00~18:00まで残業したことを考えます。この場合の労働時間は8時間です。8時間の労働時間は法定労働時間内となるために、17:00~18:00の残業は時間外労働とはなりません。もっとも、所定労働時間を超過した1時間については所定時間外労働(法内残業)として、1時間分の賃金が追加支給されることになります。

それでは、さらに1時間、18:00~19:00まで残業したとしてみましょう。この場合には1日の労働時間は9時間です。法定労働時間を超えているため、18:00~19:00までの残業は時間外労働となります。

1-4. 休日労働の例

休日労働の例として、次のような勤務形態を考えます。

・週休二日制で土曜日と日曜日が休日
・法定休日は日曜日

法定休日は「1週間に1日」です。したがって、週休二日制の場合には、どちらの休日が法定休日になるかが就業規則などで定められているはずです。

このような勤務形態で、日曜日に仕事をすれば休日労働となります。しかし、土曜日に仕事をした場合には休日労働とはなりません。

ただし、土曜日に仕事をしたために、1週間の労働時間が40時間を超えてしまうこともあるでしょう。その場合には、40時間を超えた分については時間外労働となります。

2. 36協定による残業の上限時間

時間外労働または休日労働を労働者にさせる場合、会社は「36(サブロク)協定」を締結しなければなりません。36協定は労働基準法 第36条で規定されているもので、労働者の過半数で組織される労働組合がある場合にはその労働組合と、過半数で組織される労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する人と、書面によって締結します。また、締結した36協定は労働基準監督署への届け出が必要です。

36協定を締結した場合には、会社は労働者に以下の時間まで、時間外労働をさせることができます。

・1ヶ月 45時間
・1年間 360時間

上の時間数が、時間外労働の上限時間の原則です。

3. 特別条項付き協定による残業の上限時間

ただし、36協定に「特別条項」を付けることで、上の時間外労働の上限時間を延長することができます。特別条項付き協定による上限時間の延長は、「一時的・突発的に発生する特別な事情のあるものに限る」との制約はありましたが、延長される時間の上限については、これまで規定されていませんでした。

ところが、「働き方改革」により、大企業では2019年4月から、中小企業でも2020年4月から労働基準法が改正され、特別条項付き協定による場合についても、時間外労働・休日労働の上限時間が以下の通り設けられました。

・時間外労働は年に720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月に100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」がすべてひと月あたり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年に6ヶ月が限度

上の時間外労働・休日労働の上限時間を超えることは違法です。

4. 上限に違反した場合の罰則は?

上の時間外労働・休日労働の上限時間を超えた場合は、会社は労働基準法違反となります。その場合の罰則は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

なお、36協定による時間外労働の上限時間は、休日労働が考慮に入れられていません。改正労働基準法においては、特別条項のあるなしにかかわらず、時間外労働と休日労働を合計した場合の上の上限時間が守られなければなりません。

たとえば、時間外労働が45時間以内であれば、特別条項付き協定の必要はありません。しかし、時間外労働44時間、休日労働56時間などの場合は、時間外労働と休日労働の合計が100時間以上となるために労働基準法違反になります。


長時間労働は心身に悪影響を及ぼすことは、誰もが知っている事実でしょう。労働環境の改善が見られない場合は、自分を守るために転職することもひとつの有益な方法です。

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