2020/08/28
【弁護士監修】残業時間の平均|職種別ランキングや労働基準法、過労死基準を解説!
執筆者 編集部
「平均的な残業時間はどれくらい?」
「月40時間の残業時間は多い?少ない?」
などとお考えの方もいることでしょう。
民間の調査によれば、残業の平均時間は24.9時間です。残業時間が月45時間を超えると過労死の可能性が高まりますので注意が必要となるでしょう。
この記事では、月あたりの平均的な残業時間と、残業時間が多い職種・少ない職種のランキング、および残業時間と労働基準法・過労死基準との関連をご紹介します。
【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)
監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか
【目次】
1. 月あたりの平均的な残業時間は約25時間
月あたりの平均的な残業時間は、厚生労働省が毎月実施している「毎月勤労統計調査」でも「所定外労働時間」として集計されています。それによれば、調査結果すべてについての月あたりの残業時間は、下の通り「10.6時間」となっています。
出典:厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報 第2表』
この10.6時間の平均残業時間、いかがでしょうか?「少なすぎるのでは?」と思う方もいることでしょう。
毎月勤労統計調査は、会社からの申告に基づいて行われているものです。したがって、残業時間の実態を正確に反映していない可能性もないとはいえません。
そこで、民間の調査を見てみましょう。大手転職サイト「doda」が2019年に、1万5,000人のビジネスパーソンに対してアンケート調査を行った結果によれば、月あたりの平均残業時間は下の通り「24.9時間」となっています。
出典:doda『残業時間ランキング2019 【15,000人調査】』
これならば、「実態に近い」と感じられる人も多いのではないでしょうか。
2. 【職種別】平均残業時間のランキング
dodaの調査から、月あたりの平均残業時間が多い職種、および少ない職種のランキングを見てみましょう。
2-1. 残業時間の多い職種ランキング
残業時間の多い職種ランキングTOP10は下表の通りとなっています。
順位 | 職種名 | 職種分類名 | 残業時間 |
1 | 設備施工管理 | 建築・土木系エンジニア | 41.6時間 |
2 | 建築施工管理 | 建築・土木系エンジニア | 36.7時間 |
3 | 食品/食材系メーカー | 営業 | 35.9時間 |
4 | プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連) | クリエイティブ | 35.2時間 |
5 | ITコンサルタント(アプリ) | IT・通信系エンジニア | 34.4時間 |
6 | 土木施工管理 | 建築・土木系エンジニア | 34.2時間 |
7 | 総合商社 | 営業 | 34.0時間 |
8 | 設計監理 | 建築・土木系エンジニア | 32.6時間 |
9 | 店長 | 販売・サービス | 32.3時間 |
10 | 法務アシスタント | 事務・アシスタント | 32.0時間 |
出典:doda『残業時間ランキング2019 【15,000人調査】』
上の表を見ると、エンジニア/クリエイティブ系、特に建築・土木系エンジニアの残業時間が多いことがわかります。
2-2. 残業時間の少ない職種ランキング
順位 | 職種名 | 職種分類名 | 残業時間 |
1 | 美容関連職(理美容/エステ/マッサージ) | 販売・サービス | 10.3時間 |
2 | 営業事務・アシスタント | 事務・アシスタント | 11.1時間 |
3 | 生産・製造・プロセス管理(医療系) | 医療系専門職 | 11.4時間 |
4 | 医療事務 | 事務・アシスタント | 13.6時間 |
5 | 経理事務・アシスタント | 事務・アシスタント | 14.8時間 |
6 | 総務アシスタント | 事務・アシスタント | 15.4時間 |
6 | 金融事務 | 事務・アシスタント | 15.4時間 |
8 | 一般事務・アシスタント | 事務・アシスタント | 15.6時間 |
9 | 銀行(個人向け) | 営業 | 15.9時間 |
10 | 貿易事務 | 事務・アシスタント | 16.0時間 |
出典:doda『残業時間ランキング2019 【15,000人調査】』
上の表を見ると、事務・アシスタント系の残業時間が少ないことがわかります。また、営業と販売・サービスに関しては、残業時間の多い職種ランキング、少ない職種ランキングの両方に登場していますので、残業時間は業種によって異なるものと考えられます。
3. 残業時間と労働基準法・過労死基準の関係
月平均の残業時間は、少ない職種でも約10時間、多い職種では約42時間に及んでいます。
これらの残業時間が、客観的な指標から考えて多いのか少ないのかを見てみましょう。
労働基準法では残業時間の上限が定められています。原則として「月45時間、年360時間」を上限とすることとされていて、一時的・突発的な特別な事情があるときは、
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」が全てひと月当たり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度
が認められることになっています。これ以上の残業時間は労働基準法違反となり、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることもあります。
上の指標は「過労死」の基準としても採用されており、
・過労死の可能性は残業時間が45時間を超えない場合は低く、それを超えると高まっていく
・1ヶ月に100時間、または2ヶ月~6ヶ月の1ヶ月当たりの平均が80時間を超える場合は過労死の可能性が高い
とされます。失業保険の支給でも、「連続して45時間超」「1ヶ月100時間」「2ヶ月以上の1ヶ月平均が80時間」は「会社都合退職」が認められる条件ともなっています。
上の残業時間が多い職種ランキングでは、トップの設備施工管理でも約42時間ですから、問題の起こりにくい残業時間の範囲に収まっているといえます。残業時間が月45時間を超えるようになった場合は、要注意だといえるでしょう。
長時間労働は心身に悪影響を及ぼすことは、誰もが知っている事実でしょう。労働環境の改善が見られない場合は、自分を守るために転職することもひとつの有益な方法です。
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