2020/06/22

【弁護士監修】休日出勤したときの残業代の計算方法|法定休日と法定外休日で変わることに注意

執筆者 編集部
残業代関連

会社員として働いていると、仕事が終わらず休日出勤しなければならないことも珍しくありません。休日出勤が予定より長引き、残業が発生したという経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、休日出勤をした際の残業に関する知識を身につけましょう。記事を読めば、休日出勤をした場合の残業代の概算を自分で計算できるだけではなく、法定休日と法定外休日の違いも理解できます。

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

 

1. 休日といっても2種類ある


労働にまつわる法律においては、休日には2種類あることをご存知でしょうか。「法定休日」と「法定外休日」の2つです。

休日出勤はどちらにあたるのかによって、残業代の算出方法が異なります。そのため、両者の違いについて理解しておくと計算に役立つでしょう。ここでは、それぞれの休日の特徴についてご紹介します。

1-1. 法律で決まっている「法定休日」

法定休日とは、法律で定められた休日のことです。法律では、使用者が労働者に対して週に1日以上、4週で4日以上の休日を与えることが義務化されており、これを法定休日と呼びます。

法律では法定休日について曜日を指定したり、従業員が一斉に休むことを求めたりはしていません。そのため、シフト制や従業員ごとに休日形態を変更することも可能です。法定休日を与えないと、労働基準法第35条違反として使用者に罰則が適用されます。

参考; 『労働基準法 第35条』

1-2. 調整して作った「法定外休日」

法定外休日とは、法定休日を超えた日数の休日を指し、会社が自由に指定できる休日です。そのため法定外休日には会社ごとの特徴が表れ、創立記念日を休日としているケースもあります。週休2日制の会社の場合、1日は法定休日、もう1日は法定外休日として扱われることを覚えておきましょう。

たとえば土日休みの会社では、土曜日が法定休日、日曜日が法定外休日といった扱いです。4週8休制の会社の場合、4日間は法定休日で残りの4日は法定外休日として扱われます。

2. 休日出勤の割増率の出し方

従業員が休日出勤や残業をした場合に、会社が本来の賃金に一定の割合を加算して支払うものを「割増賃金」と呼びます。適用される割増率は一律ではなく、労働状況などにより決まっているのが特徴です。ここでは、休日出勤した際の割増賃金や割増率の計算方法について具体的な数字を用いてご紹介します。

2-1. 法定休日に休日出勤をした場合の割増賃金

法定休日は本来休日であると解釈されるため、出勤した場合は割増賃金が支払われるのが基本です。この場合の割増率は法律で35%以上と定められており、基礎賃金(1時間あたりの賃金)にこの数値を掛け算した賃金を働いた分受け取れます。

たとえば、月の基本給から計算した基礎賃金が2,000円のケースの割増賃金は以下のとおりです。

2,000円×1.35(割増率)×8(労働時間)=2万1,600円

使用者は、労働者に対して上記の金額を支払う必要があります。法定休日に出勤した場合は、給与明細などで適切な割増賃金が支払われているか確認しましょう。

2-2. 法定外休日の休日出勤【法定労働時間内の場合】

法定外休日に休日出勤した場合の割増賃金は、労働時間の長短によって割増賃金の支払いの有無が変わります。具体的には休日出勤日の当日を含め、1週間の労働時間が法定労働時間内(40時間)であれば割増賃金は支払われません。下記のようなケースを考えましょう。

曜日
労働時間 3 7 7 7 7 7 0(休)

上記の例では、1週間の労働時間が38時間となり、法定労働時間の40時間を下回っているため日曜日に休日出勤をしても割増賃金は支払われません。ただし割増率は加算されないものの、労働に対する通常の賃金は支払われます。

2-3. 法定外休日の休日出勤【法定労働時間以上の場合】

法定外休日に出勤した場合で、1週間の労働時間が法定労働時間を超えたケースでは、割増賃金が発生します。下記の具体例でイメージしてみましょう。

曜日
労働時間 5 8 8 8 8 8 0(休)

上記の例では1週間の労働時間が45時間となるため、法定労働時間を超えた5時間分について割増賃金が支払われます。法定休日に休日出勤した場合の割増率は35%以上でしたが、法定外休日の休日出勤では25%以上です。割増賃金は下記のように算出されます。

2,000円×1.25(割増率)×5(時間)=1万2,500円

3. 休日出勤して残業が発生した場合の残業代計算方法


休日はゆっくり休みたいと考えていても、仕事の都合などで休日出勤しなければならないこともあります。ときには残業が発生することもあるでしょう。休日出勤であっても、残業が発生した場合は残業代を受け取れます。

休日出勤をして残業が発生した場合の残業代の計算方法について、休日の種類ごとに分けてご紹介するので、自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

3-1. 残業代の基本の計算式

通常出勤日でも残業が発生するケースは珍しくありません。まずは一般的な残業代の計算式を理解しておきましょう。基本の計算式は下記のとおりです。

基礎賃金(1時間あたりの賃金)×1.25(割増率)×残業時間

1時間あたりの賃金は時給換算した給与のことであり、原則として、基本給÷出勤日数÷1日の労働時間(残業時間を除く)で計算が可能です。

残業代の割増率は25%以上に設定され、大企業において残業が60時間を超える場合は50%以上に引き上げられます。設定された割増率はあくまで最低限度であるため、会社が残業代の割増率を30%などに引き上げることは自由です。

参考; 『厚生労働省 割増賃金の基礎となる賃金とは?』

3-2. 法定休日の残業代の場合

法定休日の休日出勤であるため、35%以上の割増率が適用されます。これは労働時間の長短とは関係ありません。問題は、このような場合に25%の割増率も適用されるのかという点でしょう。

この点について、休日出勤の残業が深夜労働(22時~5時)でない場合は、割増賃金の対象外です。つまり法定労働時間以上働いたとしても、「法定休日に休日出勤をした場合の割増賃金」と同様35%以上の割増賃金のみ支払われます。

深夜残業をした場合は、35%に加えて深夜労働の割増率25%が適用されるのが基本です。法定休日の残業代を計算する際は、深夜労働の有無で割増賃金が変化すると覚えておきましょう。

3-3. 法定外休日の残業代の場合

法定外休日で働く場合は、労働時間が法定労働時間内に収まっていれば、時間外労働の割増賃金は発生しません。深夜残業が含まれている場合は、深夜労働に関する25%以上の割増率が適用されます。

法定労働時間を超えた場合も、25%以上の割増率が適用です。深夜残業をした場合は、25%に深夜労働の25%が加算され、割増率は50%以上が適用されます。

法定外休日の残業代については、深夜労働の有無に加えて法定労働時間内かどうかについても確認しましょう。法定労働時間内かどうかは、残業代の計算時に大きく影響を与えるポイントです。これらの割増率を、基本給から算出した時給と掛けて残業代を算出できます。

4. 代休や振替休日の場合の割増賃金


休日出勤をすると、通常の出勤日が代休や振替休日となるケースもあります。このような場合、「給料はどのように計算されるのか」「割増賃金がもらえず、通常の賃金となってしまうのではないか」などの心配を抱いている方もいるかもしれません。ここでは、休日出勤後に代休や振替休日を取った場合の給料の計算方法や、割増賃金の有無についてご紹介します。

4-1. 代休の場合

代休とは、休日出勤をした後に通常の出勤日を休みとすることです。土日休みの会社員の場合では、「土曜日に出勤した代わりに月曜日を休みにする」というようなケースが代休として扱われます。

休日出勤後に代休を取得した場合の賃金は、1日分の基本給×割増率(割増分のみ)で計算しましょう。割増率は、法定休日の場合は35%以上、法定外休日であれば25%以上です。

土日休みの会社で、土曜日に休日出勤をして月曜日を代休にした場合は、法定休日の休日出勤として割増賃金を計算します。法定休日に働いた日分の割増賃金(基本給分は除く)が給料に反映されるかたちです。

4-2. 振替休日の場合

振替休日は、「振休」と表現されることもあります。振替休日とは、出勤日と休日を事前に交換することです。ここでのポイントは「事前に」という点であり、土日休みの会社員が「次の月曜日を休みにして土曜日を出勤日にする」というようなケースが振替休日として扱われます。

代休は休日出勤の「代わり」として休みを取得していましたが、振替休日はあらかじめ休日と出勤日を「交換」していることが異なる点です。

振替休日を設定して本来休日であった日に出勤した場合でも、基本的に割増賃金は支払われません。ただし、週40時間の法定労働時間を超えた場合はその分の割増賃金が支払われます。

5. 休暇や休業中に働いた場合の給料は?


休暇や休業中でも、何か理由があって短時間でも出社をして仕事をすることもあるかもしれません。このような場合、「賃金が支払われるのか」「その金額はいくらになるのか」など、主に賃金の面で不安に感じる方も多いでしょう。休暇と休業の違いや、そのような期間中に仕事をした場合の賃金の有無、金額について解説します。

5-1. 休暇や休業の違い

休暇と休業という言葉は響きやニュアンスが似ており、明確には区別されていません。休暇とは、仕事をしなければならない日の出勤を免除してもらう制度です。年次有給休暇や介護休暇などがあります。法律で認められた法定休暇と、会社や従業員が任意で申し出る法定外休暇が存在し、慶弔休暇や夏季休暇などは法定外休暇です。

休業とは業績悪化による会社都合の休業や、天災事変による休業、労働者からの請求による育児休業などがあります。労働義務を負っている日に会社や従業員の都合で休みを取得する制度です。

両者は明確に区別されていませんが、休暇は1日単位で取得する短期的なもの、休業は長期間にわたって取得するものと一般的には理解されています。

5-2. 休暇や休業中に働いた場合の賃金

休暇や休業中であっても、出社して仕事をすることもあるでしょう。介護や育児中の繁忙期に数日間だけ出社し、仕事をこなす方も珍しくありません。休暇や休業中に働いた分の賃金は、休暇を取得する前の基本賃金をもとに計算されます。休暇取得前の時給が2,000円であれば、2,000円×働いた時間分支払われるという仕組みです。

ただし、育児休業給付金や介護休業給付金を受け取っている方は注意が必要な点を把握しておかなければなりません。これらの給付金を受け取っている期間に働いて得た賃金が、1か月の給与の80%を超える場合、給付金を受け取れなくなります。月80時間を超えて働いた場合も給付金は受け取れません。

6. 残業代未払い請求をするなら弁護士に相談がおすすめ

 

残業代に関するルールは複雑で、計算方法も複数あります。そのため、残業代に関連するトラブルは後を絶ちません。この記事を読んでいる方のなかにも、残業代の未払いなどトラブルを抱えている方がいるでしょう。残業代の未払い請求をするなら、弁護士への依頼がおすすめです。

会社に個人で立ち向かうのは得策ではありません。相手が弁護士を立てる可能性も高く、法律知識のない状態では請求を押し通すのは難しいためです。こちらも弁護士を立てて戦うことで、相手も話し合いに応じやすくなります。また、残業代の未払い請求には証拠集めが欠かせません。弁護士に依頼することで証拠集めもスムーズに進むでしょう。

しかし弁護士に依頼するとなると、着手金などの費用面が気になる方もいるのではないでしょうか。『アテラ 残業代』は、着手金0円で弁護士に依頼できるため、初期費用に不安を抱えている方におすすめです。

複雑なプロセスをたどる残業代の未払い請求も、弁護士に依頼すれば安心できます。着手金負担を0円にしたい方は、ぜひ『アテラ 残業代』へご相談ください。

7. まとめ


休日出勤した場合の賃金の計算方法は、法定休日か法定外休日か、残業があるかなどによってパターンはさまざまです。

本来会社が正しい手続きで算出してくれますが、なかには従業員がわからないように計算をごまかし、残業代を支払っていないケースがあるかもしれません。そのような場合には、正しい手続きで会社に残業代の未払い請求を行いましょう。

ただし弁護士に依頼する場合、残業代請求の成功/不成功にかかわらず、最初に依頼するための着手金が必要な場合が多々あります。残業代請求が通るか分からない中で、弁護士に数十万円を最初に渡すのは抵抗がある方も多いかもしれません。
そんな方におすすめなのが『アテラ 残業代』です。
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