2020/03/10

【弁護士監修】サービス残業は違法!ブラック企業の手口や未払い残業代を請求する方法とは

執筆者 編集部
残業代関連

「忙しい会社でサービス残業も珍しくない」という方も多いかもしれませんが、サービス残業が違法なことをご存知でしょうか。「ある程度は仕方ない」と諦めてしまってはいないでしょうか……。

この記事では、よくあるブラック企業の手口や、未払い残業代の請求方法などを紹介します。正しい知識を得て、違法なサービス残業から身を守りましょう。

【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

1. サービス残業の基本


まず初めに、サービス残業の具体的な意味について解説します。言葉自体は知っているけれど、その具体的な意味はあいまいだという方はきちんと確認しましょう。サービス残業は違法なので、その点をしっかりと理解しておくことが大切です。なぜ違法になるのかも、分かりやすく説明します。

1-1. サービス残業とは

「サービス」は奉仕を意味する言葉であり、サービス残業は「適正な賃金が支払われていない残業」のことです。会社で働く従業員には「1日に8時間、週に40時間」という労働時間の基準が労働基準法で定められており、これを超えた労働はすべて「時間外労働(残業)」になります。そして時間外労働に対しては、残業代を支払わないといけません。

しかし、残念ながら残業代がきちんと支払われていないケースがあり、これが「サービス残業」と呼ばれています。

(参考:『厚生労働省 労働時間・休日に関する主な制度、施策』)

1-2. サービス残業は違法行為

サービス残業は残業代の支払いを定めている労働基準法に従っていないということであり、違法となる行為です。

この点を明確には理解していない方も多いかもしれません。違法性をしっかりと認識し、不当な労働を強いられることのないようにしましょう。違法なサービ残業から身を守るには、その手口を知っておくことも重要です。

2. サービス残業をさせるブラック企業の手口


違法なサービス残業を強いる企業は、いわゆる「ブラック企業」といえるでしょう。このような企業は、「なるべく安い賃金」で「できるだけ多く働かせる」ためにさまざまな手口を使います。

ここでは、どのような手口が多いのかを詳しく見ていきましょう。よくみられる4つの手口をピックアップし、解説します。

2-1. サービス残業が当たり前となっている

「当たり前のこと」「上司や先輩がしているから自分もしなくては」と思わせるような社風をつくり、残業代を申請しづらくするというケースもあります。ハッキリと指示されるわけではないものの、「みんな定時でタイムカードを押しているし……」「上司に嫌な顔をされるから……」と自ら判断するようになってしまいかねません。

近年は世間の目が厳しくなってきたため、残った仕事を会社ではさせずに「自宅に持ち帰らせる」というケースも増えていますが、これもサービス残業といえるでしょう。

2-2. 裁量労働制を悪用する企業もある

「裁量労働制」を悪用する会社もあります。裁量労働制とは、たとえば実際の労働時間が5時間でも10時間でも8時間働いたとみなす、というように「実際の労働時間に関係なく一定時間働いたと扱う」制度です。

この制度を従業員に適用するには、従業員が法律で定められた一定の業種(研究開発、新聞やテレビの取材・編集など)についているか、経営企画業務に従事しているなどの厳格な要件を満たす必要があります。また、「仕事の進め方や労働時間について会社が指示してはいけない」という条件もありますが、これを満たさない(実際は指示や管理をしている)にもかかわらず制度を利用する会社もあります。何時間働いても残業代を出さなくてよいという特徴を悪用し、本来は適用できない業種の従業員に裁量労働制を適用し、多量の仕事や長時間労働を指示・強要するわけです。

同種のものとして、あらかじめ定額の残業代を定める「固定残業代」、残業代の非対象となる「管理職(管理監督者)」、「年俸制」なども、残業代を支払わない口実に利用・誤用されることがあります。

(参考: 『厚生労働省 裁量労働制の概要』)
(参考:ザンレココラム 「裁量労働、固定残業代、管理職、年俸制だから残業代が出ないはブラック企業のウソ!?本当はもらえる残業代の解説」

2-3. 30分未満の残業時間は切り捨てる

労働時間は原則、1分単位で集計・計算することが必要です。しかし、「30分」や「15分」といった一定の単位を決め、その単位以下の端数を切り捨てる処理を行う会社があります。切り捨てられた時間分は働いていないことになるため、従業員にとっては不利な計算方法です。

たとえば10時~19時25分まで働いた場合に、「30分未満は切り捨て」という処理をされれば、25分間の残業には残業代が支払われません。しかし、このような処理は違法であり、残業代の未払いが発生していることになります。

2-4. 業務時間がカウントされない時間がある

始業前の掃除や着替えの時間、朝礼、準備、休憩、仮眠など、「業務時間に含めない」とする時間が定められていないでしょうか。

ここで挙げたような目的の時間であっても、会社の都合で行動を縛られている場合などは、業務時間に含むべきと評価されるケースがあります。たとえば「休憩中も電話に出られるよう、デスクで待機していること」と指示を受けている場合は、業務時間と評価されやすくなるでしょう。

3. サービス残業をさせられるときの対策

実際にサービス残業をさせられている場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。ここでは覚えておきたい3つの対処法を紹介します。それぞれについてくわしく解説するので、困っている方は参考にしてみてください。

3-1. サービス残業は違法だと伝え断る

会社に対して意見をするのは、とても勇気のいることでしょう。上司から嫌な顔をされることもあるかもしれません。

しかし、違法なことをさせられているのに我慢しなければいけないのは、やはりおかしな話です。勇気を出して、意思を伝えてみましょう。断ったことによって不当な扱いを受けた場合は、その行為も違法になります。

サービス残業ではなくきちんと残業代の出る残業でも、次のようなケースでは断ることができるので覚えておきましょう。
・体調がよくない
・妊娠している
・産後1年以内である
・3歳未満の子の育児がある
・小学校入学前の子の育児や要介護状態にある家族の介護がある(月24時間、年間150時間を超える残業のみ断ることが可能)
・残業自体が違法である(36協定が締結されていない場合、36協定を超える残業など)

こういったケースの場合、会社は残業を強制すべきではありません。堂々と断ることができるので、しっかり主張しましょう。

3-2. 弁護士に相談し未払いの残業代を請求する

現在に至るまでのサービス残業に対する残業代、つまり本来もらうはずだった未払い残業代は会社に請求可能です。サービス残業が日常的になっていた場合、かなりの金額になっていることが考えられます。

請求は自分で行うこともできますが、おすすめは弁護士に相談することです。相談して依頼することになれば、煩雑な手続きを任せられるのはもちろん、精神的負担も軽減できます。また、自分で行うより支払われる確率が高くなるでしょう。金額も大きくなることが多い傾向です。さらに、弁護士が出ることで会社の対応がより真剣になる可能性もあるでしょう。

3-3. 労働基準監督署に相談する

労働基準監督署に報告・相談するのもひとつの方法です。実際はなかなか動いてくれないことも多いようですが、動いてくれる場合は抜き打ち調査が行われ、サービス残業が認められれば是正勧告がなされます。

相談する際は具体的な実情説明と根拠資料を用意しましょう。根拠がなければ、労働基準監督署も動くことができません。

ただし労働基準監督署への相談だけで解決できる事例は多くないということも知っておきましょう。

4. サービス残業がバレた会社へのペナルティー

会社がサービス残業をさせていることが認められた場合、何かしらのペナルティーを受けることはあるのでしょうか。

ここでは、労働基準法の定めに違反した会社がどうなるのかを、詳しく解説します。主に考えられる2つのケースを紹介するので、チェックしてみてください。

4-1. 労基署から是正勧告を受ける

まずひとつめは、「労働基準監督署から是正勧告を受ける」というものです。サービス残業について労働基準監督署に報告・相談があった場合、その事実が認められると是正勧告がなされます。

もし、会社がこの是正勧告に従わなかった場合や悪質な事案の場合、書類送検となり刑罰を科せられる可能性もあるでしょう。

(参考:『厚生労働省 労働基準監督署の役割』)

4-2. 労基署から是正勧告を受ける

未払い残業代は請求できることに加え「付加金」も請求できます。付加金とは労働基準法違反に対する罰金のようなものです。裁判所が労働者の請求に基づいて支払いを命じることができ、その額は最大で「未払い残業代の請求額と同額」になります。

つまり裁判による未払い残業代請求において付加金も請求され、それが裁判所に認められれば、会社は本来の残業代の2倍の額を支払わなければなりません。この事態を避けたいため、会社は裁判よりも任意の支払いで収拾しようと考えるのが一般的です。

(参考:『厚生労働省 労働基準法』)

5. 未払い残業代を請求するためのポイント

最後に、未払い残業代を取り戻すために知っておきたい重要なポイントを解説していきましょう。

ポイントは「残業の証拠を集める」「時効があることを知る」「弁護士に相談(依頼)する」の3つです。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

5-1. 残業していた証拠を集める

重要なのがサービス残業を証明するための証拠です。具体的には、以下のような資料やデータを集めるとよいでしょう。

・タイムカード
・日報
・業務用パソコンの利用履歴
・業務メールやファックスの送信記録
・GPS記録(アプリ「ザンレコ」)

会社が消してしまうこともあるため、コピーや写真を残しておくのがおすすめです。これらのほかにも、仕事上のメモや日記、帰宅時に家族へ送ったメールなども有効ですから、なるべく多くの証拠をそろえておきましょう。

(参考:弁護士が開発した残業証拠レコーダーアプリ ザンレコ

5-2. 残業代請求は時効がある

過去のサービス残業に対する未払い残業代請求はできますが、請求には時効も存在します。時効の期間は2年です。2年より前に行ったサービス残業については、未払い分を請求できません。

そのため、請求を考えているならば、できるだけ早めに動きはじめるのがおすすめです。とくに証拠集めは、1日でも早く取り掛かったほうがよいでしょう。

5-3. 弁護士に相談するのがよい

未払い残業代の請求には弁護士への相談や依頼が有効だといえます。なぜなら自分での請求は簡単ではないからです。手続きが煩雑なだけでなく、法的知識も求められます。会社と戦う精神的負担も大きいでしょう。

弁護士に任せればこれらの負担がないうえ、的確な主張と法的対処により成功率も上がります。支払われる額も高くなるでしょう。会社もより真剣に対応してくれますし、裁判になったときにも安心など、メリットは多岐にわたります。

6. 弁護士に相談したいけど資金が賄えない人は『アテラ 残業代』を使ってみて

未払い残業代の請求をより確実にするには弁護士への依頼が有効だと説明しましたが、「費用が心配……」という方も多いでしょう。

そのような方は『アテラ 残業代』にご相談ください。このサービスを使えば、資金がなくても安心して弁護士に依頼できます。その理由は以下のとおりです。

・着手金を立替えてくれる
・会社から残業代を回収できなかった場合、敗訴した場合は、立替えてもらった着手金を実質返済しなくてよい

つまり、リスクゼロで弁護士に依頼して残業代請求が行えます。

(参考:『アテラ 残業代』サービスサイト

7. まとめ


今回は、サービス残業が違法であることや、ブラック企業の手口、未払い残業代を請求するためのポイントなどをお伝えしました。弁護士に頼めばより確実に残業代の請求ができるでしょう。

弁護士費用が心配な方には『アテラ 残業代』が役立ちます。「請求が通るか分からないなか、着手金にまとまったお金を出すのは抵抗がある……」という方の強い味方です。弁護士の着手金を立替てくれるので、すぐに着手金を用意できない場合でも『アテラ 残業代』を利用して依頼することができます。

着手金にお困りの方、残業代請求のリスクをゼロにしたい方は『アテラ 残業代』をご利用ください。

(参考:『アテラ 残業代』 サービスサイト

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