2017/12/23
厚労省が公表したブラックリスト!?労基法等違反の公表事例 まとめ (平成29年11月30日までの公表分)
執筆者 編集部(厚労省のブラックリストに関する最新記事は厚労省が公表したブラックリスト!?労基法等違反の公表事例 まとめ(平成30年7月31日までの公表分)をご覧ください。)
厚生労働省は、2017年5月10日から、労働基準法等の労働基準関係法令に違反したとして書類送検を行い、企業名を公表した事例について、同省のHPに掲載しており、今後は、毎月更新する予定とのことです。
この労働基準法等の違反事例リストは、メディアではなかなか報道されない中小企業の事例も含めて、いわゆるブラック企業でどのようなことが行われているか、また労働基準監督署がどのような事例の送検を行っているかを知る上で、参考になるかと思いますので、その内容をまとめてみました。
※下記事例は厚労省が公表した事例のみであるため、労基署が指導を行った事例は下記事例以外にも多数あると考えられます。
【平成29年11月30日に公表された分までの672件についてまとめています。】
※同年7月14日公表分以降に掲載されていた事例を含みます。
※主な違反法条に注目して整理しています。
A) 労働基準法(労基法)に違反して送検された事例:128件<新規に16件追加>(全体の約19%)
<労基法32条違反事例>
1. 36協定の締結・届出なく残業等を行わせた事例:15件
<新規に2件追加:岐阜県 (株)トゥ・ステップ、京都府 (有)丸幸運輸>
2. 36協定の上限時間を超えて残業等を行わせた事例:59件
<新規に10件追加千葉県 関東西部運輸(株) 本社、東京都 (株)シマダ、静岡県 (株)AKAISHI、島根県 若女食品(株)、山口県 美栄樹脂(株)、愛媛県 丸共運送(株)、愛媛県 (株)モリオト、愛媛県 (株)森実興産、愛媛県 三栄紙業(株)、福岡県 (株)さかえ屋>
※ 厚労省の公表内容には明記されていませんが、36協定の上限時間を超える残業に対しては残業代が支払われていない場合が多いので、上記59件には残業代未払いの事例が多数含まれると推測されます。
電通(本社・支社合わせて4社)、エイチ・アイ・エス、三菱電機、パナソニック等の有名企業もこの問題で送検されています。
(編集部注:残業代の未払いがある方は、残業代・解雇弁護士サーチでお近くの弁護士に相談してみよう!)
3. その他の労基法32条違反(違法な残業(時間外労働)):6件
<賃金・残業代の未払い>
4.労基法24条違反(賃金未払い):21件
<新規に3件追加:青森県 皐月電子工業、神奈川県 (株)共明製作所、愛知県 (株)メルベ稲垣>
B)の最低賃金法違反の事例の一部と同じ賃金自体の未払いです。
未払いの金額は、最低2万円から最大870万円(追加された(有)小川興企)までが公表されています。。
5. 労基法37条違反(残業代等の未払い):10件
残業代未払いについても送検が行われています。今回、ヤマト運輸が送検されたのも、この労基法37条違反です。
①従業員9名に定額の残業代(固定残業代)を超える残業代(割増賃金)約600万円を支払わなかった事例(山梨県 (株)ニューズ)
基本給に定額の残業代(固定残業代)が含まれている場合や、定額の残業手当を支払っている場合でも、実際の残業時間に基づく残業代が定額の残業代を超えているときには、差額の残業代を従業員に支払う義務があります。(詳しくは、残業代Q&Aをご覧ください。)
この事例では、その差額の残業代を支払っていないことを理由に送検されています。
②従業員7名に1か月間の残業代約96万円を支払わなかった事例(三重県 (株)アンデルセン)
(編集部注:固定残業代を超える残業代が払われていない方は、残業代・解雇弁護士サーチでお近くの弁護士に相談してみよう!)
<その他の労働法違反>
6. 労基法101条、120条、104条の2違反(労基署に対する虚偽報告等):8件
例:労基署長に対して、従業者の労働時間の記録について虚偽の報告をした事例(長野県 (医)ゆりかご)
7. その他の労基法違反(外国人留学生の強制労働等):9件
<新規に1件追加:和歌山県 段上縫工所>
B) 最低賃金法4条に違反した事例:104件<新規に9件追加>(全体の約15%)
1. 賃金自体の未払い:96件
<新規に9件追加:北海道 (株)サンパワー、北海道 (株)ふとんクリーニング 今井、北海道 (特非)北海道就労サポー ト協会Free Gard en、福島県 (株)エコファームジャパ ン、愛知県 (有)東栄興業、愛媛県 (株)愛姫フーズ、福岡県 (有)久留米日日新聞社、長崎県 アルファ・サンメゾン (株)、長崎県 咲き都みとこの会(株)>
公表された未払い賃金の金額は、平均約272万円、中央値が106万円でした。
未払い賃金の金額の最高額は、なんと4010万円でした。
他方、最低額は3万円でした。(ただし、公表された事例の未払額が少額であっただけで、当該企業で過去に他の労働基準関係法令の違反があった可能性もあります。)
未払い賃金の額が大きかった事例:
①従業員91名に対して賃金約4010万円を未払い(岡山県 (株)エコシステムグループ)
②従業員53名に対して賃金約2218万円を未払い(京都府 (株)プラスバリューケア)
③従業員9名に対して賃金約1483万円を未払い(新潟県 (特非)アニマルフレンズ ジャパン)
④従業員10名に対して賃金約1349万円を未払い(京都府 (株)ナイキシステム)
③従業員41名に対して賃金約1233万円を未払い(岡山県 (株)エコシステムコミュニケーションズ)
④従業員6名に対して賃金約1090万円を未払い(栃木県 (同)PLuck)
2. 支払った賃金の額が最低賃金を下回っていた事例:6件
東京、愛知、京都等の都市部が5件を占めていました。
なお、対象者となった従業員が1名でも送検された事例がありました。(ただし、公表された事例の対象従業員が1名であっただけで、当該企業で過去に他の労働基準関係法令の違反があった可能性もあります。)
3. その他(賃金支払いの遅れ等):2件
(編集部注:賃金の未払いがある方、最低賃金を下回っている方は、残業代・解雇弁護士サーチでお近くの弁護士に相談してみよう!)
C) 労働安全衛生法等に違反した事例:440件<新規に36件追加>(全体の約65%)
主な事例は下記の通りでした。
1. 労働安全衛生法第20条違反:150件
機械等の設備や引火物、電流等による危険の防止措置を講じる義務に違反
2. 労働安全衛生法第21条違反:119件
高所にある作業場から従業員が落下する危険を防止する措置や、はい(積まれた荷)の崩壊を防止する措置等を講じる義務に違反
3. 労働安全衛生法第100条違反:65件
労基署に対して虚偽の報告をしたこと、または必要な報告をしなかったこと等
厚生省が新たな事例を公表するのに合わせて、今後も毎月更新していく予定です。
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