2017/08/13

厚労省が公表したブラック企業リスト!?労基法等違反の公表事例まとめ(平成29年7月14日までの公表分)

執筆者 編集部弁護士
残業代関連

(厚労省のブラックリストに関する最新記事は厚労省が公表したブラックリスト!?労基法等違反の公表事例 まとめ(平成30年7月31日までの公表分)をご覧ください。)

厚生労働省は、2017年5月10日から、労働基準法等の労働基準関係法令に違反したとして書類送検を行い、企業名を公表した事例について、同省のHPに掲載しており、今後は、毎月更新する予定とのことです。

この労働基準法等の違反事例リストは、メディアではなかなか報道されない中小企業の事例も含めて、いわゆるブラック企業でどのようなことが行われているか、また労働基準監督署がどのような事例の送検を行っているかを知る上で、参考になるかと思いますので、その内容をまとめてみました。

※下記事例は厚労省が公表した事例のみであるため、労基署が指導を行った事例は下記事例以外にも多数あると考えられます。

【平成29年7月14日に公表された分までの393件についてまとめています。】

A)労働基準法(労基法)に違反して送検(全体の約18%)

<労基法32条違反事例>

1. 36協定の締結・届出なく残業等を行わせた事例:8件

2. 36協定の上限時間を超えて残業等を行わせた事例:32件

※ 厚労省の公表内容には明記されていませんが、36協定の上限時間を超える残業に対しては残業代が支払われていない場合が多いので、上記32件には残業代未払いの事例が多数含まれると推測されます。

電通(本社・支社合わせて4社)、エイチ・アイ・エス、三菱電機、パナソニック等の有名企業もこの問題で送検されています。

(編集部注:残業代の未払いがある方は、残業代・解雇弁護士サーチでお近くの弁護士に相談してみよう!)

3. その他の労基法32条違反(違法な残業(時間外労働)):4件

<賃金・残業代の未払い>

4. 労基法24条違反(賃金未払い):8件

下記B)の最低賃金法違反の事例の一部と同じ賃金自体の未払いです。
未払いの金額は最低6万円から最大134万円までが公表されています。

5. 労基法37条違反(残業代等の未払い):6件

残業代未払いについても送検が行われています。

①従業員9名に定額の残業代(固定残業代)を超える残業代(割増賃金)約600万円を支払わなかった事例(山梨県(株)ニューズ)

基本給に定額の残業代(固定残業代)が含まれている場合や、定額の残業手当を支払っている場合でも、実際の残業時間に基づく残業代が定額の残業代を超えているときには、差額の残業代を従業員に支払う義務があります。(詳しくは、残業代Q&Aをご覧ください。)
この事例では、その差額の残業代を支払っていないことを理由に送検されています。

②従業員7名に1か月間の残業代約93万円を支払わなかった事例(三重県(株)アンデルセン)

(編集部注:固定残業代を超える残業代が払われていない方は、残業代・解雇弁護士サーチでお近くの弁護士に相談してみよう!)

<その他の労働法違反>

6. 労基法120条、104条の2違反(労基署に対する虚偽報告等):5件

例:労基署長に対して、従業者の労働時間の記録について虚偽の報告をした事例(長野県 (医)ゆりかご)

7. その他の労基法違反(外国人留学生の強制労働等):7件

B) 最低賃金法4条に違反した事例:54件(全体の約14%)

1. 賃金自体の未払い:46件

公表された未払い賃金の金額は、平均約215万円、中央値が154万円でした。
未払い賃金の金額の最高額は、なんと1349万円でした。(当社の当初の資本金の額を優に越えています…)
他方、最低額は3万円でした。(ただし、公表された事例の未払額が少額であっただけで、当該企業で過去に他の労働基準関係法令の違反があった可能性もあります。)

未払い賃金の額が大きかった事例:

①従業員10名に対して賃金約1349万円を未払い(京都府(株)ナイキシステム)

②従業員9名に対して賃金約944万円を未払い(新潟県(有)富岳産業)

③従業員12名に対して賃金約875万円を未払い(沖縄県(医)ティーシマクリニックひがし野)

④従業員16名に対して賃金約720万円を未払い(新潟県あやめ重機)

2. 支払った賃金の額が最低賃金を下回っていた事例:6件

東京、愛知、京都等の都市部が5件を占めていました。
なお、対象者となった従業員が1名でも送検された事例がありました。(ただし、公表された事例の対象従業員が1名であっただけで、当該企業で過去に他の労働基準関係法令の違反があった可能性もあります。)

3. その他(賃金支払いの遅れ等):2件

(編集部注:賃金の未払いがある方、最低賃金を下回っている方は、残業代・解雇弁護士サーチでお近くの弁護士に相談してみよう!)

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C) 労働安全衛生法等に違反した事例:269件(全体の約68%)

主な事例は下記の通りでした。

1. 労働安全衛生法第20条違反:92件

機械等の設備や引火物、電流等による危険の防止措置を講じる義務に違反

2. 労働安全衛生法第21条違反:70件

高所にある作業場から従業員が落下する危険を防止する措置や、はい(積まれた荷)の崩壊を防止する措置等を講じる義務に違反

3. 労働安全衛生法第100条違反:44件

労基署に対して虚偽の報告をしたこと、または必要な報告をしなかったこと等

厚生省が新たな事例を公表するのに合わせて、今後も更新していく予定です。

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